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ということで、やって来ました武器屋さん。場所は冒険者ギルドに程近く、王都にあるお店だけあり二階建てのしっかりした建物だ。
「ここがギルドオススメの店なの?」
「ああ、なんでもギルドと提携してるらしくギルド証を見せると値引きしてくれるらしい」
「その代わりギルドはこのお店の依頼とか冒険者がギルドに売った素材とかを優遇してもらってるって話だ」
なるほど、売ってるものも冒険者向けだしけっこう儲かりそうなお店だな。
「早く入ろうぜ」
冒険者組に急かされ俺達は店内に入った。一階は武器防具が所狭しと並んでいた。入り口には警備員らしき冒険者が立っていて話を聞いてみると万引きや冒険者による暴力行為に目を光らせているらしい。
「じゃあまずは好きに見るか?」
「だな、良いのがあったらシュウに見てもらえばいいし」
ということで、ここで一旦解散し各々が好きな武器防具を見ることになった。
俺としては特に武器を使うこともないので全体をフラフラと歩きながら見ていく。すると店の隅にゴミかと見間違えるように山積みになっている武器を見つけた。以前も見つけた廃棄寸前の品物だろう。
「掘り出し物でもないかなぁ~」
以前見つけたよく切れる折れた剣や呪われた物みたいなのが無いか片っ端から『鑑定』をして調べていく。すると、『魔力吸収』なる付与が付いた武器を見つけた。持ってみるとそのナイフに手から魔力が吸われていくのを感じた。
「うわっ、……これ吸われた魔力どうなるんだ?」
手を離したナイフを見ていると吸収した魔力は空気中に散っていってしまった。呪いを解いたらどうなるかわからないけど面白そうだから買っちゃおう。
他に目ぼしい物が無いか探してみると、安く買える店だけあって鉄や魔鉄の品物が多いのだがたまに魔法銀と呼ばれる金属の製品も見られた。これは魔鉄の上位の品で鉄よりも硬く魔力も通りやすく、性能が良いらしい。値段もそれなりにするのだが……。
他にもフレイの町ではあまり売られていない槍のような柄の長い武器が売られていた。森じゃなければリーチが長い方が有利だからだろう。ということで、長柄の武器もあとで購入しよう。
そんなことを考えていると冒険者組が色々と武器を選んできたようだった。
「やっぱり王都の武器屋はでかいな」
「防具も鉄の鎧とかあったぞ」
「俺達は使わないけど見本に買っておくか?」
やはり王都の品揃えにビックリしたみたいだ。冒険者としては鎧、特に全身鎧なんかは重たすぎて使わないが見本としては良いかもしれない。まぁ、鎧の出来次第ではあるのだが……。ただ、胸当てや兜なんかは急所を守る意味で使う冒険者もいるので買っておこう。もちろん見本用に盾を買うのも忘れてはいけない。
その後は冒険者組が選んだ物を皆で見て回った。鍛冶組の手伝いをすることもあるので大きなハズレを選ぶことなく品を選べたようで『鑑定』でも問題はなさそうだった。とはいっても選んだ物を全て買うわけではなく見本となる物、王都の武器がどの程度の品なのかを試す用の品をいくつか買うだけにした。もう少しお金に余裕があればミスリルの武器が欲しいんだけどなぁ。




