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出掛ける支度をし俺達は獣人街へ向かった。そこではすでに獣人街の商人、王都の商人が揃っていてうちの商人組と色々とやり取りをしていた。冒険者組も来ていたようで馬車から荷物を降ろしていた。ちなみに馬車は獣人街に置いてあり、ステップホース達は俺が泊まっている宿でくつろいでるはずだ。


「お、やっと来たか?」

「サクヤちゃんおはよー」

「おばあちゃんおはよう!」


俺達を見つけた皆から挨拶をされたので挨拶を返しながらみんなのもとへ歩いていく。


「シュウ、荷物を出してくれるか?」


どうやら馬車の荷物を出し終えたようなので馬車に入り追加の荷物を出していく。サクヤちゃんとおばあさんは朝ごはんの炊き出しの手伝いに行ったみたい。俺達が来るときは食料も持ってくるので食事が少し豪華になるのでまとめて作るようになったらしい。


荷物を出し終えると今度は積込作業に変わる。普段は馬車一台分+魔法の鞄に少しの量しか取引はないのだが、今日は俺がいるのでいつもより多く取引をするようだ。

しまう荷物はお酒が多く、次に竜の森で手に入らない薬草類や香辛料、量は少ないが砂糖もあるみたいだ。他にも民芸品や工芸品、生地や糸等色々ある。そうそう、孤児院で足りなくなったポーションの器の話をしたら明日までに少し用意してくれるとの事。どうやら取引が上手くいって他の商会と繋がりが出来始めたらしい。これは今後の取引に期待できそうだ。


「綺麗……」

「作るのはちょっと難しいかねぇ」


荷物をしまっているといつの間にかサクヤちゃんとおばあさんが戻ってきていて荷物を覗いていた。民芸品や工芸品は生産組の見本として仕入れているのだが二人はそれらを気に入ったらしい。


「あとで探しに行ってみる?」

「……行く!」


どうやらサクヤちゃんの機嫌も直ってきたようだ。

午前中は取引に使い、午後は街中に買い物に行った。商人組は商業ギルドへ、冒険者組は冒険者ギルドに顔を出している。やはり王都は都会だけあって大通りは屋台で賑わい、商店街のような所もありそこも賑わっていた。


「どっかのお店に入ろうか?」


サクヤちゃんはお店を回るのを楽しみにして屋台巡りをしようとしたのだが、人が多すぎて少し酔ってしまったみたいなのでどこか建物に入って避難することにした。


そして入ったのが裏通りにある雑貨屋? の様な所。人混みによっているのに大通りの店に入っても意味がないだろうからね。入ったお店は地元の人向けのお店らしく生活雑貨が所狭しと並んでいた。せっかく買い物に来たのになんでこんな小さなお店に! と思うかもしれないが、まぁサクヤちゃんが人に慣れるまではしょうがない。というかこういうお店に意外と掘り出し物があるかもしれない!


「はい、いらっしゃい」


店内をキョロキョロと見回してると奥からおばあちゃんが出てきた。


「こんにちはー」

「こ、こんにちは……」

「はい、こんにちは」


俺達が挨拶するとおばあちゃんはニコニコしていた。同年代? の登場におばあさんはおばあちゃんと会話を始めたのでサクヤちゃんと二人、店内を見て回ることにした。店内にある商品は日用雑貨なだけありほとんどが見たことのあるものばかりだった。ただ、竹のような物で出来たザルがあったのでそれは購入させてもらった。


「クッキーだ……」


サクヤちゃんの声にそちらに向かうと棚の端っこにクッキーとケーキが置いてあった。ケーキと言ってもクリームが乗ってる物ではなくスポンジだけのケーキだ。中に木の実やドライフルーツらしき物が入っているみたいで食べ応えはありそうだ。


「それはあたしの手作りだよ、買ってくかい?」


じっと見ているとおばあちゃんが一言。これはおばあちゃんが子供用に趣味で作っているらしく、子供向けってことで安かったりする。


「これ、お土産に買ってこうか?」

「うん。きっと喜ぶ……!」


ということで妹ちゃんへのお土産にクッキーとケーキを買うのだった。

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