235
孤児院(予定地)に着いた俺達は早速荷降ろしを始めた。港町にいる子達にも手伝ってもらい狼車に積んだ木材と俺が『アイテムボックス』から出した木材を運んでもらい、商人組は魔法の鞄からポーション類に食料品、日用雑貨等を取り出して整理して貰った。
「シュウ、手が空いたらこっちのをしまってくれ!」
港町に残っていた子から呼ばれ、行ってみるとかなりの量の干物にお酒が積んであった。もちろんそのまま置いてあったわけではなく、俺が来たから渡してあった魔法の鞄から『アイテムボックス』に移し変える為に取り出したのだ。お酒の方は物によっては熟成されるかもしれないが、干物なんかは古くなると食べられなくなっちゃうからね。
「にしてもずいぶんたくさんあるね」
「おさかないっぱ~い」
「お酒もいっぱい……」
一緒についてきた妹ちゃんとサクヤちゃんも驚いている。
「まあな、王都の方の商売が上手くいってるみたいで頼まれてた酒はけっこう買えたみたいだぜ。それにこっちも子供達が頑張ってくれたから干物がたくさん出来た」
港町に残った商人組は冒険者組を護衛に二度ほど王都へ行ったらしい。向こうの商人も素材を売ったおかげで取引先が増えて色々と買えるようになったそうだ。ただ、俺達的に何を売っているのか、何が必要なのかがまだわからないのでお酒位しか買っていないとの事。これは一度王都に行ってみるしかないかな?
荷物をしまった俺達はもとの場所に戻るとそこでは大工組を中心に資材置き場が作られていた。持ってきた木材が濡れないようにまずは簡易的な物で、その後家を建てたら倉庫としてちゃんとしたものを作る予定だ。
他の子達は手分けしてテントを組み立てていた。予想はしていたのだが俺達がフレイの町に戻っている間に子供達の人数が増えていたので寝床を確保しなければならなかった。アイテムボックスに小屋も少しあるのでそれも出しておこう。
「ウォンッ!」「「「ガウッ!」」」
「「「「クゥ~ン……」」」」
港町に着いてから狼達を引き連れてどこかへ行っていたクイーン達が帰ってきた。クイーンと子狼は元気いっぱいだったが他の狼達は落ち込んでいた。クイーンが「ついてきて」と言うのでついていくと岩場にロッククラブが山積みされていた。なるほど、狼達はロッククラブを見つけられなくて落ち込んでたのか。
「すご~い!」
「いっぱいいる……」
妹ちゃんもサクヤちゃんもカニに喜んでいる。おばあさんはちょっと驚いていた。俺は半分アイテムボックスにしまい、残りは漁師さん達を呼んで運んでもらった。もちろんお裾分けというか夜に一緒に食べるつもりなので漁師さん達も嬉しそうに手伝ってくれた。
次の日は港町をぶらり。前回はあまり町をまわれなかったので今回は色々と買ってみたい。
「おさかないっぱ~い」
「どれも美味しそうねぇ」
「おばあちゃん、どれ買うの……?」
まずは大通りの市場へ。屋台が沢山並び活気のある呼び込みの声がそこかしこから聞こえてくる。買い物に来ているのが俺と妹ちゃんとサクヤちゃん、それとおばあさんだけなので屋台の人達から沢山声がかかる。クイーンも護衛に来てくれようとしたがおばあさんが「今日は私がいるから大丈夫」と置いてきたのだ。もしここにクイーンがいたらちょっとした騒ぎになってたかもしれないな。
屋台でおすすめの物や普段見ない物をちょこちょこと買いその後は生地屋や食材屋、雑貨屋や錬金術のお店に薬屋とおじいさんと一緒だと行かないお店に寄って色々と購入した。
色々と購入したのだが、店員さんに聞いたところ、船で来た荷物はほとんどが王都に運ばれるので品揃えは王都の方が良いらしい。商人としての地位が上がればここで買うことも出来るようだが今の俺達には関係ない話か……。
妹ちゃん達はすでに大量の買い物をしたのだが、日が暮れても家に帰ることは出来なかった。いつの時代、というか世界が変わっても女の買い物は長いと実感した一日だった……。




