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「なんか、冒険するのも久しぶりだな!」
「何言ってるの? あんたとクイーンはいつも森に行ってたじゃないの」
「いや、森にいたやつらここと比べると弱すぎて戦ってる気がしなかったんだよな」
「ウォン!」
どうやらクイーンも同じ意見のようだ。
俺達は今おじいさん付き添いのもといつもより深い森の中を歩いていた。いつもの場所ではあまり修行にならなくなったので次の段階へ進むために。
クルスくんとクイーンは喜んでいたがイリヤちゃんは二人を見て呆れていた。
今回はレベルアップが目的なので古参の従魔達も一緒に来ていた。それぞれが持前の能力で警戒し採取もついでにおこなっていた。銀リスやウッドモンキーはあまり警戒が得意じゃないからね。
「おにいちゃん、これやくそう?」
「これ、食べられる……?」
いつもより森の深い所な為か森の恵みはほぼ手付かずの状態なようで色々と採取が出来た。ただ、先へ進むほど見たことのない物がちらほらと現れてきたので妹ちゃん達は俺に確認しに来ていた。妹ちゃんはすぐ手に取ってしまうので注意しているのだが少しすると忘れてしまうのでかぶれたりしないか心配である。採取用に手袋でも作って貰った方がいいかな?
クイーン達はモンスターの気配を感じると待つことなく狩りに行ってしまった。まだこの辺りは見覚えのあるモンスターばかりなので問題はないだろうが、そろそろ警戒に力を入れた方がいいかもしれない。当然トレントやロッククラブの事があるので魔力をしっかり探索するのも忘れない。
「ちょっと数が増えてきたな」
「一匹一匹も少しずつ強くなってる気がするわ」
「ぴーちゃんもたいへんそうなの!」
奥に進むとモンスター達が集団でいることが増えてきた。おそらく集団をまとめる上位種が多くなってきたからだろう。空の方もぴーちゃんとシャドウオウルがひっきりなしにモンスターや鳥達と戦っていた。というか、モンスターじゃない鳥達もなかなかに強者揃いみたいだった。数も多いのでイリヤちゃんの弓や妹ちゃんの投擲、俺やサクヤちゃん、従魔達の魔法で援護するのだが、クルスくん達の援護もあるので目が回りそうだ。
「くそっ、きりがないな」
「休む暇も無いわね」
「でも、クイーンは元気だよね」
この辺りはほとんど冒険者が来ないからかモンスターの数がとても多く、倒しても倒しても次々に新しいモンスターがやってくる。おそらく血の臭いに誘われてるんだろうが本当にきりがない。
こうなるとさすがに全員同時に戦うのは難しいと交代しながら休んでいる。クイーンだけは喜んで戦っているが子狼達も戦わされているので少し涙目だ。
周りを見渡すと倒したモンスターの山になってしまっていたので俺は慌ててアイテムボックスに仕舞いだした。これだけモンスターがいたら移動の邪魔になってつまずくかもしれないからね。ってか普通の冒険者はこういうときどうするんだろう?
倒したモンスターを仕舞い、魔法で水や風を出し血の臭いを散らせるとやってくるモンスターが少しずつ減っていき、やっと戦いが終了した。いつの間にか日も暮れかかっていたので本日の冒険は終了となった。




