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兎の血抜きをしながら考える。
さて、これをどうしよう?
そもそも肉を狩りに来たのはぴーちゃんの為なんだが、まだぴーちゃんは肉を食べるほどではない。
それに今回は狩れたが定期的に狩れるようになってから餌にしたい。
最大の問題は兎を持ってくと妹ちゃん達に泣かれそうだ。
とりあえず保留ということでアイテムボックスに隠しておこう。時間経過しないのでいつでも新鮮だ。
血抜きを終え兎をアイテムボックスにしまった。まだ少し時間がありそうなのでもう少し狩りをすることにした。
「まだ時間があるみたいだから狩りをしようと思うんだけど、近くに獲物はいるかい?」
「キュイ?」
ミュウは耳をピクピクさせながら首を傾げた。
「すぐには見つからないか。じゃあ、帰りながら探そうか!!」
「キュイ!!」
俺達は帰りの方向を確認して探索しながら帰った。
途中二羽の兎を見つけた。さっきと同じ様に穴を掘り投網を準備。
今回は二羽いるが、数に惑わされずに穴を塞ぐ事に集中!!
残念ながら一羽逃げられたが一羽は捕まえられた。
またミュウに首を刈ってもらい血抜きをする。
血抜きの為に首を切って命を刈るのはまだ慣れない。しかし、モンスターが蔓延り命のやり取りが日常のこの世界では早く慣れないといけないだろう。
そんな事を考えてたら血抜きも終わったので孤児院に帰ることにした。
「ミュウ、今日はありがとな♪」
「キュイ、キュイ♪」
「後、兎はもう少し捕れるまで皆には内緒な。」
「キュイ~!!」
その後、俺達は無事に孤児院に帰ってきた。
孤児院では獣っ子三人が出迎えてくれた。
「ただいま~」
「キュイ~♪」
「「「おかえり」」」
「って、何があった!?怪我したのか!?」
挨拶をしたら狼族のクルス君が鼻をヒクヒクさせながら焦ったように聞いてきた。
「えっ???どこも怪我なんてしてないよ?」
「だが、血の匂いがかなりするぞ!!」
血の匂い?…もしかして血抜きの時の匂いかな?さすが狼族、凄い鼻してるな。
しかし、困った。なんて誤魔化そう。どこも怪我してないのは見ればわかる。なら、この血の匂いをどう説明するか。
正直に獲物を狩ったと言うか…。妹ちゃんに動物を殺した事を言ったら可哀想と泣かれちゃうかなぁ…。
「えっと、ミュウが兎を捕まえたんだよ。で、血抜きをしたからそれのせいかも」
そう言って、俺は背負子から取るフリをしてアイテムボックスから兎を一羽取り出した。
兎を見て泣くと思っていた妹ちゃんは
「わ~い!おにくだ~」
と、喜んでいた。
イリヤちゃんにしても
「ミュウ、良くやったわ♪」
と、上機嫌だ。
「血抜きか。良くやったぞミュウ!!」
クルス君もミュウを褒めていた。
あれ?おかしいな、ここは「うさぎさんかわいそ~」って泣くんじゃなかったの?
えっ?これは食べ物としてみられてるの?
お兄ちゃんには違いがわかりません。
イリヤちゃんも兎を狩るのは問題無いんだ!?
この世界の感覚には未だに馴染めません…。
ミュウを褒めてる三人を置いて俺は院長先生に兎を持っていった。
そして、院長先生にも
「良くやりましたね、シュウ」
と誉められ、シャルちゃんにいたっては
「ありがとうございます!!これでご飯がちょっぴり豪華になります♪」
と喜ばれた。




