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早速とばかりに俺達は行動を開始した。そして、そのために俺と冒険者組は走り回ることになる。というのも職人組が活動するには材料が必要で、その材料は俺達や冒険者組が取りに行かなければならないからだ。
ただ、薬草などはコボルト達が集めてくれているので助かっているのだが、ポーションを入れる器が不足しているとの事でどこかで仕入れなければいけないみたい。冒険者組が護衛依頼がないかギルドに見に行ったので隣町で買ってきて貰えないかな。
木材や金属も足りないので伐採、採掘に行かないといけないのだがいつまでも木工組、鍛冶組が取りに行くわけにもいかないので俺達だけで取れるようにならないといけない。
クイーンは早速新しい狼達を連れていってしまったようなので俺達の護衛は古株の狼達だ。あまり会うことも無かったのでちょうど良かったかもしれない。ぴーちゃんはシャドウオウルと一緒に修行中だ。
さすがに何度も来ているので伐採も採掘も順調に進んでいた。今までおじいさんと出掛けていたので今回の保護者は珍しくおばあさんだったりする。その為採取にも力を入れたのでコツなどを含め色々と教えてもらえた。今度冒険者組やコボルト達にも教えてあげないといけないな。
「きのこみつけた!」
「おばあちゃん、これも薬草……?」
「よし、お前ら、誰が一番でかい獲物を狩れるか勝負だ!」
「「「「ガウッ!」」」」
伐採、採掘が終わってからも何日かはおばあさんと森へ出掛けていた。ある程度材料が揃うと俺達は仕事が無くなるからだ。といっても木や薬草はいくらあっても困らないのでのんびりしながら森を歩いていた。妹ちゃんやサクヤちゃん達はおばあさんと採取をし、クルスくんと従魔達は狩りを楽しんでいた。
「キャンキャン」
「ワンワン」
久しぶりに竜の森を探索していて知ったのだが今ではコボルト達もレベルが上がり俺達が活動する辺りまで探索できるようになり、森ですれ違う事が多かった。もしかすると匂いで近寄っているのかも知れないけど久しぶりに会う子も多いのでとても嬉しそうにしていた。
コボルト達は冒険者と同じように採取や狩りに来ているのでタイミングが合えばクルスくん達が狩ってきた獲物の解体を手伝ってもらったりした。もちろんコボルト達にお土産として渡すのも忘れない。というか、クルスくん達が狩ってきた獲物の解体をお願いする為にコボルト達の家に置いてきたりもした。
解体したお肉で思い出したのだが、料理組には塩や香辛料を使わない干し肉作りをお願いした。旅の最中俺がいれば問題ないがいないとクイーン達狼の餌に困ることに気付いたからだ。狩りにいく場所や時間があれば良いのだが無いときは必ずあるだろうから今のうちに考えておかないとな。ついでに魚介類も渡したので色々と新しい料理を作ってくれるだろう。いつかは「料理」スキル持ちの子も港町に連れていくのも良いかもしれないなぁ。
数日もするとスッキリとした顔のクイーンとゲッソリとした狼達が牧場に集まっていた。どうやらクイーンの修行が終わったみたいだ。レベルは少ししか上がっていないが技術は上がった事だろう。
「ウォンッ!」
そのクイーンからお願いをされた。なんでももうこの辺りのモンスターは慣れてしまったのでもう少し強い相手と戦いたいと。確かにいつも狩りをしているイメージのクイーンだが最近は全然レベルが上がっていない気がする。それにぴーちゃんも鍛えたいと言っていたしおじいさんにお願いしてもう少し森の奥へ行ってみるのも有りかもしれないなぁ。




