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さて、せっかく見つけた兎をどうやって捕まえるか。
俺とミュウは後ろに下がり、まずは落とし穴を作った。三羽いたので少し大きめに深く。そして、投網を用意し、ミュウに兎の後ろから落とし穴に誘導するように頼んだ。
落とし穴に落ちればそれで良し。落ちなかったら投網で捕まえるつもりだ。
ミュウが配置につき、俺も木の影に隠れて準備万端。
従魔とはなんとなくテレパシーのような物が使えるのでミュウに合図を送る。
兎の方から鳴き声が聞こえ、がさがさと近付いてくる音が聞こえた。
投網を構えると兎が向こうからやってきた。さすがの速さで兎は落とし穴に向かった。
先頭を走る兎が勢いよく落とし穴に落ちた!!
先頭に続いて穴に落ちるかと思ったら、二羽目三羽目の兎は落とし穴を飛び越えていった。
慌てて投網を投げるが時すでに遅し、兎に逃げられてしまった。
ガッカリしていると、落とし穴に落ちたはずの兎まで穴から脱け出し逃げてしまった…。
ミュウと作戦は上手くいったのに俺の詰めの甘さで狩りは失敗してしまった。
地面に手をつき項垂れているとミュウが寄ってきて慰めてくれた。
「俺のせいでごめんよ~」
スリスリ
謝りながらミュウをもふもふした。
落ち着いた俺は今回の反省をした。まず投網、あきらかに兎が速すぎて俺では捕まえられそうにない。
次に落とし穴、まさか穴から脱け出されるとは思わなかった。
以上の事を考えると落とし穴に落ちる落ちないにかかわらず落とし穴に来たタイミングで投網を投げるのが良いのかもしれない。
ミュウに動物を見つけたら教えるように言って、また採取に戻った。
今日の分を採取し、ミュウもお腹いっぱいになった頃、ミュウの耳がピコピコし始めた。どうやら獲物を見つけたようだ。
ミュウについていくと今度は兎が一羽寝ているようだ。
さっきと同じ様に穴を掘り、隠れて投網を用意する。ミュウは反対側に移動し準備完了。
狩りスタート
ミュウが兎に向けて走り出す。兎は慌てて起きミュウとは反対側に走り出した。
俺の耳に何かが近付いてくる音が聞こえる。
もうそろそろだ。兎が見えた。投網を構える。
兎が落とし穴に近付いた。
今だ!!
投網を投げる!!投擲スキルにより方向はバッチリ。
兎が落とし穴に落ちた!!
直ぐ様投網が穴を塞ぐ。このままでは簡単に出られてしまうから、急いで投網の石を魔法で地面に固定。
これで兎は逃げられないはずだ。
俺は急いで穴に近づき、中を覗いた。瞬間兎が目の前に現れた!!が、投網に弾かれ穴に落ちていった。
どうやら兎の捕獲に成功したようだ。
地魔法で穴を少しずつ小さくして兎を捕まえた。
なかなかの大きさでもふもふしていて可愛い。
これを殺さなければならないのはキツい!!
捕まえたまま悩んでいるとミュウが
「キュイ!!」
と鳴き俺の前を走り抜けた。
すると、捕まえていた兎の喉から血が吹き出した。
「うわっ」
驚いた俺は兎を放り投げてしまった。
ミュウを見ると角の先が血で濡れていた。
「キュイ!!キュイ!!」
どうやら踏ん切りのつかない俺に代わって兎を仕止めてくれたらしい。
ありがたいんだけど、何かスッキリしない感じだ。
「おっと、いけね」
俺は兎の後ろ足を持ち落とし穴に入れ血抜きをした。
「それと、ミュウさっきはありがとな」
「キュイ♪」




