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次の日俺達は村を出ることになった。さすがに何日も居続ける事は出来ないし、そもそもここに来たのは蜂蜜酒の依頼のためだ。

その依頼もなんだかんだでいつの間にか終わっていたらしい。ハチミツは長持ちするので作れるだけ作ってもらい、出来上がった蜂蜜酒は数ヵ月後に取りに来ることになった。また、村の住人がフレイの町に来たときに状況を教えてくれるらしい。村の住人と言ったのは実は熊の行商人は専属の商人ではなく元冒険者が交代で行商していて、たまたま順番で来ていたのだそうだ。確かに村長が年中行商しているのはまずいよな。熊の行商人含め元冒険者の皆さんはそれなりに高ランクだったので交代で出来るが普通なら無理だろうな。


村の入り口ではお別れのために村人達が集まってくれていた。

おじいさんの所には大人達が、妹ちゃん達の所には村の子供達が集まりお別れをしていた。


「蜂蜜酒、楽しみにしておるぞ」

「良い酒があったら教えてやるよ」

「また来たときは一緒に呑もうな」


「またあそびにくるね!」

「また来るね……」

「絶対また来てね!」

「また森で冒険しような!」


うん、皆別れとはいえ悲しみはなく次会えるのを楽しみにしている。


「クゥ~ン」

「ピュイ?」

「ミャア」


そして、俺の回りには従魔しかいなかった。確かにこの村では一人で行動することが多かったが、これはちょっと寂しいな……。


「メェ」

「メェェ」


そう思っているとどうやって抜け出してきたのかはわからないが子羊に子山羊が駆けつけてきた。そのまま俺に近づくと頭を擦り付けてきた。


「お前ら見送りに来たのか?」


「メェ!」「メェ! メェ!」


きっと、氷室作りの休憩時気分転換に占拠された穴にちょっとした屋根なんかを作ったのを気に入ってくれたのかな?

お別れということで『アイテムボックス』からこっそりと竜の森産の薬草やら餌を与えてみた。子羊達は美味しそうに食べ始めた。そんなことをしていると妹ちゃんがこちらに気付き


「おにいちゃん、ずるい~」


と皆を連れて集まり大騒ぎのお別れとなった。

いつまでもこうしているわけにもいかず、予定よりも遅くなったが俺達は村を出発した。シーキャットが新しくいるが、いつものメンバーになんとなく皆嬉しそうに歩いている。本当なら少し採取しながら進みたかったが、さすがに帰りが遅くなるので我慢することに。いや、むしろ少し小走りで帰っていた。


「ふむ、この面子ならば問題無いじゃろ」


小走りで山を降りもうすぐ下山完了後というところでおじいさんが皆を集めた。そして、一言つぶやくと久しぶりに皆を魔法で飛ばしたのだった。


「あ~、これは楽ですね」

「おじいちゃん、すごい!」

「あ、ありがとう……」


俺達は比較的楽が出来るので好意的だったが、クルスくんとクイーンは未だに空の旅は苦手のようで尻尾を巻いて震えていた。

横を見るとぴーちゃんが嬉しそうに飛び、シーキャットも並んでいた。


「あっ、あれ、港じゃない?」


空を飛ぶこと数時間、遠くに海が見え始めたと思ったらあっという間に港町も見えてきた。


「何日もかけて行ったのに帰りはすぐ着いちゃうわね」

「そうだね、おじいさんに感謝だね。クルスくんとクイーンが平気ならもっと飛べたかも知れないけどね」


妹ちゃんは喜んでいたが、結局今回もクルスくんとクイーンはずっと震えたままだった。さすがに町にそのまま降りるわけにもいかないので人目につかない所に降り立ち、クイーンが回復するのを待ってから狼車で出発した。


町に着き、まだ昼過ぎなので皆がいるであろう漁師さんの所へ向かう。そこでは皆が干物作りやカニの処理をしていた。だが、予想外の事も起きていた。そこには居残り組を含めおそらく三十人以上の人数が作業をしていたのだった。

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