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「おにいちゃん、あのね、ちなちゃんともりにいってもいい?」
朝ご飯を食べ、行動を開始しようとしたところ妹ちゃんからのお願いがあった。どうやらチナちゃんと森で採取をしたいみたいだ。もともとチナちゃん達村の子供達は村のすぐそばで採取をしていたらしく、その話をしたら妹ちゃんも行きたくなったらしい。
「私達も行くつもりだから安心して」
「俺もクイーンと狩りしてくるから!」
イリヤちゃんが妹ちゃん達と一緒について行ってくれるみたいだ。それに、クルスくんとクイーンも一応一緒に行くのかな? もしかするとぴーちゃん達も行きたがるかもしれないから確認しよう。
「皆がいるから大丈夫かな?」
「この辺りはモンスターもほとんど出ないみたいだし大丈夫よ」
この村の近く、というかこの山にはほとんどモンスターが出ないらしい。危険なのは猪や熊あたりの動物で狼はいないようなので危険性は低いみたいだ。クイーンが周辺で狩りをしてくれれば安全性も増すだろう。
ということで、妹ちゃん、サクヤちゃん、イリヤちゃん、クルスくん、クイーンにぴーちゃん、それとシーキャット、チナちゃんに村の子供達は森へ採取に行くことになった。うちの従魔が護衛につくと知り、他の子供達もついでとばかりに参加することになったのでそれなりの集団になってしまったのだが、村の人も何人かついて来てくれることになったので採取と狩りは期待できるかもしれないな。
さて、皆が採取に出掛けたので俺も仕事をすることにする。今日は冷蔵庫、いや、冷蔵室? を作る予定だ。お酒を作ってもらう話をして保存に氷の魔道具を使うという事になったが、さすがに冷蔵庫では小さいと思いどこかの部屋を冷蔵室にしようと思ったのだ。
ただ、まだ熊の行商人に話をしていないので空いてる家、もしくは空いてる部屋を確認するところから始めないといけないのだが。
「さすがに余ってる家は無いな」
早速熊の行商人、もとい村長さんに聞いてみたが空いている家も余っている部屋も無いらしい。
となると次に出来そうなのは小屋を建てるか魔法でかまくらのような物を作るか、かなぁ?
「じゃあどこか使っても良い土地とかありますか?」
「土地? 村の外れなら問題無いが何に使うんだ?」
俺は村長さんに新しく作ることを提案し了承を貰えた。魔法で作るかまくらならまだしも小屋は1日では作れないので魔道具さえあれば村の者で作るとも言われた。アイテムボックスの中に小屋はいくつか入っているのだがさすがに出すのはまずいかな? それに、小屋だと木材も必要になるし魔法で作るのが手っ取り早いか?
とにもかくにもまずは村をまわってみようかな、結局昨日は羊達との触れ合いで終わったからね。
村をスタスタ歩き回ると牧場の端が切り立った崖で壁になっている事に気づいた。これならここを掘って氷室のようにすれば良いんじゃないかと思い付いた。
近づいてみると壁は土で出来ているので魔法でなんとか出来そうな気がする。ということで、まずは実験。『地魔法』で落とし穴を掘る要領で横穴を開けていく。そのときに穴の壁となる部分を固め、崩れないように補強する。多少の魔力消費はあるが穴を広げてその分の土を固めるだけなので思ったよりも上手くいった気がする。一メートル程作ってみたが、このまま作れそうなので許可を貰いに行こう。
熊の行商人の家に着くとおじいさんと二人、正座をしてサンさんに叱られている所に出くわしてしまった。まったく、何をしているのやら……。




