215
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。
お昼を簡単にスープとパンで済ませた俺は妹ちゃん達の案内で動物達を見に行く事になった。
おじいさんは熊の行商人と奥さんと村の中でお酒を作ってくれる人を探しに行くみたい。作る人によって味が変わるのでそれはそれで楽しみみたいだ。
牧場は村外れにあり、そこに村の人達がそれぞれ飼っている動物がまとめている。動物の管理も順番にやるらしく毎日世話をやらないので負担が少なく村人も余裕があるようだ。ただ、好きな人は毎日来ているので順番の意味がないとも言っていた。
「おぉ~、すごいたくさんいるね」
フレイの町にも山羊くらいはいる。何を隠そう俺や妹ちゃんは山羊のお乳を飲んで育ったくらいだからね。ただ、基本的に山羊のお乳は高いのでほとんどは院長先生が知り合いのお母さんに分けてもらったお乳を飲んでいたらしいけれど……。
「おにいちゃん、あのこたちすごいもこもこだよ!」
あぁ、あれが昨日言っていた羊かぁ。基本的にはこっちの動物は俺が知ってるのとほとんど同じみたいだから少し懐かしい気がする。
にしても、妹ちゃんのこの興奮の仕方、もしかして羊を見たことがなかったっけ? ……そういえばフレイの町でも山羊すら見てないか? いるのは知ってたけど。他の町や村でもあまり出歩かなかったし、見る機会が無かったか……。
「あれで作る洋服は暖かいんだよ」
うん、うちの牧場でも羊が欲しくなってきたな。羊のモンスターを従魔にするのも良いかもしれないけど、そんなモンスターいるのかな? 動物からモンスターになることがあるからどこかにはいると思うんだけどなぁ。
それに、コボルト達も仕事に慣れてきたみたいなので新しい動物が増えてもきっと大丈夫だろう。
「おにいちゃん、あのこたちさわっちゃだめ?」
よっぽど気に入ったのか羊達と触れ合いたいと妹ちゃんが言ってきた。さすがにチナちゃんに許可は貰えないだろうし誰かいないか探すしかないかな?
「あのね、あっちに小屋があるから聞いてあげる!」
と思っていたらチナちゃんが人がいるところがわかると言って俺達を連れていってくれた。そのままそこにいた人に話をしてくれて動物達と触れ合うことが出来た。 皆ミルホーンやビッグコッコの世話で慣れているのか動物達もストレスを感じてない様子だったので一安心だ。
「あの~、ここの毛って買うことは出来ますか?」
ついでとばかりに羊毛の入手に挑戦する。
「おう、金さえもらえれば売れるぞ。ただまぁ、時期によっては売れない事もあるけどな」
おお、買えるのか。多分この村の収入源の一つだろうから難しいかと思ってたのに拍子抜けだ。多分普段売っているところへの義理やそもそもの生産量、それに、冬場はさすがに毛は刈れないだろうからその辺りは話し合いをしないとな。
その後も羊や山羊、馬と遊んだ後は宴会である。
村の人が何人か昼から料理をしてくれていたのでいつもの肉を焼いただけとは違う品揃えだった。
おじいさんは各家庭のお酒を呑み比べて上機嫌になっている。
クイーンもいつの間にか肉の塊を焼いてもらっていたらしく美味しそうに食べていた。
俺達は村の子供を中心に竜の森の果物をこっそり食べてとても楽しい宴会となった。




