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猫族の二人の荷物を無事に回収した俺達は予定通り漁師達の所へ向かった。といってもすでにここは浜辺なので漁師を探すだけなのだが、海を見ると何隻もの船が浮いているので漁中なのだろう。
漁といえば朝早く、日の出前から行くイメージだったがこの世界では違うのかな? 日の出と共に働き出すこの世界だけれど、さすがに灯りが必要だと夜の海は危ないのだろう。
となると船が帰るまでは時間が余るな。それまで何をするかな? と考えていると、
「まて~!」
「まつにゃ~」
妹ちゃんとサクヤちゃんと猫族の二人が波打ち際で遊び始めていた。初めて海を見た妹ちゃんならまだしも猫族の二人も初めて遊んだように喜んでいる。もしかすると生きるのに一生懸命で遊べなかったのかもしれないな。サクヤちゃんがいるのでおじいさんとイリヤちゃんがしっかりと見ていてくれるだろう。
クルスくんは子狼達と砂浜を走り回っている。ステップホース達は宿で休んでいるがクイーン達は運動したいとついてきたのだ。そのクイーンは俺の側にいた。どうやら俺の護衛らしい。
ここでのんびりするのも良かったのだが、クイーンの為にも少し散歩でもしてこようかな。
散歩ついでに人を探す。漁師さんか家族の人でもいれば魚の交渉をしたいところなのだが難しいかな?
歩きながら漁師小屋や残っている船の近くを覗いてみるも人は見当たらない。
「ウォン!」
うろうろと探していると少し離れた所を走っていたクイーンが呼んできた。どうやら何かを見つけたようだ。
「なんでここに狼がいるんだ!」
俺が近づくとクイーンに驚く人がいた。
「すいません! この子は俺の従魔なんで攻撃しないでください!」
見るとその人は銛? を持ち構えていた。
「危なくないのか?」
「はい、大丈夫です」
俺はクイーンに近付き撫で始めた。クイーンは気持ち良さそうに撫でられている。
「で、坊主は何者だ?」
「えっと、行商人見習いかな? 将来は冒険者になろうと思ってるんですけど……」
「ふむ、で、その見習いが何をしに来たんだ?」
「あ、はい、魚を買いたくて来たんですけど……」
「魚か……。ならば市場で買えば良いだろう?」
「市場でも色々買ったんですけど、他にも欲しいのがあって直接漁師の人から買えないかと……」
「なるほど、そういうことか。だが、他の連中はまだ帰ってくるまで時間がかかるぞ?」
そう言ってその人は近くにあった箱から小魚を出し、クイーンに向けて放り投げた。
「ウォフ!」
と鳴くとクイーンはその小魚をパクリと食べた。
「あ、ありがとうございます」
「気にするな、どうせ売れないやつだ」
その後話をするとこの人はやはり漁師らしくすでに漁から帰ったところのようだった。クイーンにくれた小魚は明日釣りに使う予定だそうだ。
「前の日に言えば買えるかもしれんが、漁では何が捕れるかわからんからな、欲しいものがあるかわからんぞ」
「あ、それは大丈夫です。まずはどんな物が捕れるのかを知りたいので」
「そうか。なら俺から話しておいてやろう」
なんと、この漁師さんが他の漁師さんに話をしてくれるというのでお願いしておいた。
魚はもちろん小魚や海藻、持ち帰るのが難しいけど貝類もあれば嬉しいな。
他の漁師さんが帰ってくるまでまだ時間があるので俺とクイーンはもう少し近くを散歩することにした。




