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仲間達の説得は成功したので次は猫族の二人だ。
二人に孤児院に来るか聞くのは俺の役目になっていた。というのもまともに会話ができるのが俺しかいないからだ。
熊の行商人に聞いたところ、知っている範囲で言語は共通らしい。確かに山向こうの農村でも普通に会話が出来ていたからね、納得だ。ただ、訛りのようなものがあるので普通に会話が出来るかは話してみないとわからないらしい。
猫族の二人も他の皆には聞きづらいらしいので慣れるまでは苦労するかもしれない。
そして、話し合いはすぐに終わった。やはり、二人だけで生きていくのは辛かったみたいだ。それに妹ちゃんとサクヤちゃんに懐き始めたのも良かった。話し合いの最中も二人の側で見守っていたのだが、猫族の二人は少し嬉しそうにしていた。
さて、猫族を保護する出来事があったが、それ以外は順調に出来たようだ。
商人組はギルドで交渉し塩を大量に買うことが出来た。素材と交換のような形になったらしく準備に数日かかるとのこと。まぁ、素材を売るにしても相手を探さなくてはならないし、塩もある程度は在庫があるだろうがそれを超えたら仕入れなければならない。
数日滞在が延びる位どうってことない。
冒険者組は俺達のように町中ではなく漁師達がいる所へ直接魚介類を買いに行ったみたいだった。そこで、お店に売れなかった物を買ってこれたみたいだった。
買ってきたものを少し見せてもらったが、大量の小魚や屋台では見なかった海藻を仕入れたみたいだった。
俺達は屋台を中心にまわっていたのでここで一般的な物や調理済みの食べ物を仕入れていた。
さしあたって急ぎの用事も無かったので今後の予定は明日決めることにし、その日は早めに就寝することになった。
次の日朝食を食べながら予定を決めた。
商人組は商業ギルドで何か買う物がないか探す。
冒険者組は冒険者ギルドでどんな依頼があるのか調べる。もちろん依頼を受けてもいいし、受けなくてもいい。
俺達は猫族の二人の様子を見ながら二人の荷物の回収。それと時間があれば漁師達の所で色々見て回るのも面白いかもしれない。
朝食を食べ終わった後猫族の二人に確認してみたが元気いっぱいとはいかないが、ご飯を食べたおかげで移動は問題ないみたいだった。
二人に住んでいた所を聞いたらすぐに案内してくれた。
「こっちにゃ」
「ついてきてにゃ」
二人について行くと町外れに到着した。ここは漁師小屋なのか近くに船や網が見える。
「もしかしてこの中の小屋に住んでたの?」
「違うにゃ」
「入ったら怒られるにゃ……」
そう言うと二人は小屋の裏手に回った。
そして、地面をほり始めた。
「あったにゃ!」
それは汚れた袋だった。
「もしかして荷物はそれだけなの?」
「はいにゃ」
「お母さんのにゃ」
どうやらこの町に降ろされた時に荷物まで取られてしまったらしい。それでも母親の形見だけは持ってこれたみたいだ。住んでいるのも小屋の外らしい。わずかに屋根があり雨が防げるとここにいたみたいだ。
「ご飯はどうしてたの?」
「お魚食べてたにゃ」
「たまに拾えるにゃ」
多分漁師さん達が捨てたか落とした物を食べてたんだろう。
幸い出会ったのが早かったから大事無かったけれど、出会いが遅かったり、下手して出会わなかったらいったいこの子達はどうなっていたのだろう……。




