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お腹もふくれ、泣き疲れたのか猫族の二人は寝てしまった。このままにしてはおけないので宿に連れていこうとしたのだが、妹ちゃんとサクヤちゃんが二人を抱っこするというのでお願いしてみた。


宿に着くと店員さんに二人分の追加料金を支払った。二人はまだ小さいので余っているベッド一つで足りるだろう。


妹ちゃんとサクヤちゃんが二人から離れようとしなかったので、クルスくんとおじいさんに買い物の続きをお願いしておいた。おじいさんがいるので荷物持ちの心配は無いから色々買ってきてくれるだろう。屋台の食べ物も一応頼んでおいた。猫族の子が夕飯に起きるかわからないので念のためだ。



陽が暮れ始めた頃商人組、冒険者組が帰ってきた。彼等に猫族の事を説明していると部屋にいた妹ちゃんが二人が起きたと教えに来てくれた。

あまり大勢で行くのも怖がられるといけないので、最初に会ったメンバーだけで二人と話すことになった。



「村がモンスターに襲われたにゃ……」



「お母さんが病気で死んじゃったにゃ……」



二人は悲しい出来事を泣きながらもポツリポツリと話してくれた。

二人はまだ小さく詳しい事はわからなかった。しかし、おおよその事は理解できた。

二人はこことは違う大陸で暮らしていた。しかし、住んでいた村がモンスターに襲われ、村は壊滅した。その時に父親が亡くなってしまった。

なんとか生き残った母と子供二人は仲間が暮らす別大陸へと向かった。

なんとか船に乗り込むことが出来たが、船旅の途中旅の疲れか心労か母親が病で亡くなってしまった。母親が亡くなった事で船員にこの町に降ろされてしまったらしい。


「あいつらの目的地ってここじゃないよな?」


話を聞き終えたクルスくんが質問してきた。


「ここなわけないだろ?」

「だよな、他の国はわからないけど、この国じゃ猫族は暮らし辛いはずだぞ」

「なら、なんでここで降ろされたんだ?」


冒険者組が口々に意見を言い合う。


「多分、捨てられたのよ」


イリヤちゃんがその答えを予想した。


「母親がいないんじゃあの子達は生きていけないわ。だから船員に捨てられたのよ」


おそらく船代は最初に払っているはずなので普通なら目的地まで行けるはずである。しかし、親がいなければ育て世話をする人が必要になるだろう。また、目的地に着いたとしても親がいないあの子達に未来は無かっただろう。船員としても苦渋の決断であってほしい、じゃなきゃあの子達が可哀想だ。


「なんだそれ!」


あの二人が捨てられた事にクルスくんは怒り、他の皆も怒りなのか悲しみなのか顔を歪ませている。


「あのこたち、すてられちゃったの?」


悲しそうな顔で妹ちゃんが俺に質問してくる。

俺はハッキリと答えた。


「違うよ、俺達の家族になりに来たんだよ」


この時皆は新しい家族に笑顔を見せた。

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