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今日は手分けして買い出しをすることになった。
宿の食事で出た鍋が魚介類がたっぷり入って美味しかったからだ。妹ちゃんもクルスくんもおじいさんも魚介類を買う気満々である。
買い出しに行くには大人数過ぎるので何人かに別れて行動することになった。
班分けは熊の行商人と商人組と冒険者組が半分の組。
残りの冒険者の組
そして、残りの俺達の組だ。
商人組にはギルドに行って、塩を買ってきて貰う。出来るならまだ残ってる素材を売ってくれれば嬉しいな。ここは他国とも取引をしているのでワイバーンなんかの貴重な品は高く売れる気がする。
冒険者組と俺達の組は町中で買い出しだ。魚介類だけでなく何か珍しい物があったらそれも買ってもらうつもりだ。港町だし王都より安くいろんな物があるだろう。
商人組は馬車で出発した。俺もおじいさんもいないのでとりあえず出せる荷物を積んでおいた。
冒険者組もアイテムボックスが使えないのである程度買ったら宿に戻る事になっていた。魔法の鞄に入れる事も考えたが魚介類が生きていた場合、入れられないのでしかたがない。
俺のアイテムボックスも生きているものは入れられないが魚はその都度〆てもらえば入れられるはずである。ただ、貝類は難しいかも知れないなぁ……。
通りに出ると市場のようなものが開いていた。海の方に近づくほど魚介類を売る店が多いようだ。大きな魚から小さな魚、一匹丸ごとの魚に切り身の魚と種類は豊富だ。
「シュウ、こっちの魚、美味そうだぞ!」
「おにいちゃん、これもかって!」
「おいシュウ、ここのおばちゃんがこれ買うとオマケしてくれるって言ってるぞ!」
地球の魚に似ているのもあれば見たこともない魚もあるので味がわからない。そのため手当たり次第に買うのだがクルスくんと妹ちゃんが競うように魚介類を勧めてくる。近くの屋台のおっちゃんおばちゃんも面白がって勧めてくるもんだから俺達の回りは混沌としてきていた。
「さくやちゃん、あっちにもあるよ! いこう!」
「うん!」
妹ちゃんのパワーに感化されたのかサクヤちゃんも元気に屋台巡りをしている。おじいさんが見てくれているので問題は無いと思う。
そうして順番に買い物をし、荷物を持っていく振りをして建物の陰でアイテムボックスにしまうのを繰り返しているといつの間にか妹ちゃんの声が聞こえなくなっていた。
「あれ? クルスくん、あの二人は?」
「ん? おチビ達か? そういやいつの間にかいねぇな」
となるとおじいさんなら知ってるはずだよな?
「おじいさん、サクヤちゃん達はどこ行ったんですか?」
「ん? サクヤならばあそこの陰におるぞ」
おじいさんが指差す所は建物の陰に隠れて見えなかった。魔力を探ってみると確かに妹ちゃんとサクヤちゃんらしき反応があった。
何をしているのか見に行こうと思ったら建物の陰から二人が走ってきた。
「二人とも、何してたの?」
「おにいちゃん、あのね、このこにごはんあげて!」
「お腹空かせてるの……」
そう言って二人は抱き抱えていた猫を俺達に見せてきたのだった。
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