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「やっと見えてきたな!」
外を走るクルスくんの言葉に馬車に乗る皆が前を覗いていた。
「お~、あれが王都か」
「おにいちゃん! あのまんなかのはなに?」
「きっと、お城だね。王様のお家だよ」
「すごい!」
孤児院組は初めての王都に少し興奮気味だ。熊の行商人は当然として、サクヤちゃんもおじいさんに連れられて見たことがあるらしい。ただ、その時は飛んでいたのでよくわからなかったみたい。
王都が見えたことで皆が馬車から降りて歩いていくことになった。今まで時間短縮の為に少し無理して馬車に乗っていたのだ。歩くとスピードダウンするが王都も見えているし今日中に着くはず。
ゆっくり歩いて行こうと思っていたのだがやはり目的地が見えた事で自然と皆早足になっていた。
早足になった事で予定より早く着くと思っていたのだが、……着かない!結局王都に着いたのはお昼を大きく過ぎた頃だった。
「でけ~」
「おっきぃ」
「なんかすげぇ」
王都に着いた俺達は中に入るために並んでいた。王都は10メートル以上ある壁に囲まれていた。
国の中心にあるためか四方に入り口となる門があるのだが、検査等もあり入るのに時間がかかっていた。
「仮にもこの国の王が住んでるからな」
熊の行商人が待ってる間色々と説明してくれた。
王都は三層構造になっていて外側から外壁、王都街、内壁、貴族街、城壁、お城となっている。俺達が活動出来るのは王都街だけで貴族街は貴族、もしくは大商人や一流冒険者しか行けないみたいだ。おじいさんなら依頼を受ければ簡単に入れるらしい。むしろおじいさんレベルにならないと貴族街は関係無さそうだ。
「なぁ、あっちの門からは入れないのか?」
もうすぐ俺達の番って時にクルスくんからの言葉。クルスくんが指差す方には俺達が並んでいる門よりも小さいのに派手な門があった。
「あぁ、あれは貴族用の門ですね。貴族様並ばせるわけにはいかないって事です。もちろん王族も使いますよ」
なるほど、またしても俺達には関係ないやつか。いや、むしろ近づかない方が良いやつだな。
皆にも近づかないように注意しておいた。特にクルスくん。
その後も熊の行商人から話を聞いてるうちに順番が来て無事に王都に入ることが出来た。
「なんか、感じ悪かったわね」
「あのおじさんきらい!」
「私も嫌い……」
無事に入れはしたのだがイリヤちゃん達はすこぶる機嫌が悪かった。というのも入場審査を受けていたのだが、明らかにイリヤちゃん、クルスくん、妹ちゃん、ついでに一緒にいたサクヤちゃんを兵士達が見下したような目で見ていたのだ。
もちろん対応も俺達に対してとは違うものだった。あまりにも差別が酷いので文句を言おうとしたが、その前におじいさんが殺気を放って解決した。
そのせいで兵士に何か言われるかと思ったが、おじいさんの冒険者証を見て黙ってしまっていた。
「う~ん、フレイの町と違ってここはクルスくん達には辛いかもね」
「だな。あんまし来たくねえな」
「何度も来るのは困るわね」
妹ちゃんが機嫌が悪いし用事がある時は冒険者組に頼もうかな。
「まぁ、いつまでも気にしててもしょうがない、宿でも探すぞ!」
俺達はとりあえず宿を探すことになった。
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