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妹ちゃん達との買い物は予想以上に楽しく過ごすことが出来た。農業都市とでもいうべき町だったので農産物を探しているうちに果物を見つけることが出来たのだ。これには女性陣が喜びお小遣いで自分用と俺は孤児院用のを買っておいた。
夜に宿で食べてみたのだが竜の森の果物より味も甘さも劣っているようだったのが残念だった。
町を出る際おじいさん達の二日酔いは治っていたので無事に出発することが出来た。出発する時、他の商人達に途中まで一緒に行かないかと誘われたが、馬車の速さが違うので申し訳ないが断った。クイーン達の活躍が大きかったのかな、護衛として期待されていたみたいだ。今後もよその町でのクイーン達の対処は獲物による肉パーティーをするのが一番かもしれない。じゃないと怖がられるからね。
出発してから二日位は何事もなく進んでいた。そして、道中で盗賊が出やすいといわれていた辺りを走っているとクイーン達が戦闘をしている気配を感じたそうで先行してもらったのだが、俺達が到着すると盗賊はクイーン達によってすでに倒されていた。近くには盗賊に襲われたであろう馬車の集団もいた。
その集団はクイーン達を警戒し一部の商人達は諦めの表情をしていた。俺達はすぐに従魔であると説明し、盗賊達の処置をお願いした。盗賊達はたいして金目の物を持っていなかったが、懸賞金や犯罪奴隷として売られるためお金が入るのだが、その手続きが面倒なので商人達から盗賊の代金としていくらかのお金をいただいた。
近くの町に連れていって手続きをする手間を考えたらこれで十分だろう。
小説なんかだと盗賊のアジトに乗り込んでお宝を奪う! なんてのがあるけれど、実際問題安全第一に考えるとアジトに行く気にはなれなかった。おじいさんとクイーン達で簡単に制圧出来そうな気もするんだけどね。
その後、盗賊は出ることもなく、クイーン達は休憩のたびに散歩がてら狩りに行っていた。その時にクイーン達が獣人を咥えて帰ってきたのだ。目覚めた狸人族の姉弟とクイーンに話を聞くと森に採取に来たらしいのだが、そこでゴブリンに襲われたらしい。そこにクイーン達がやって来て助けたのだが、クイーンに驚いて気絶してしまったらしい。そして、クイーン達が俺達の元に連れてきたらしい。
最初はクイーン達の事を恐がっていたが妹ちゃん、クルスくん、イリヤちゃんを見て落ち着いたのか護衛ついでに村? 集落? に送っていくことになった。
そこは森の中にひっそりとあった。住人は獣族獣人族しかいなかったので隠里なのかもしれない。
その村でも当然クイーン達が恐がられたが姉弟を助けたことでなんとかなった。そこではまた宴会をして仲良くなった。また、話を聞くと近くの農村や町での買い物に苦労しているとのことで大量の小麦粉を売ってあげたらかなり喜ばれた。
小麦粉の代金だが、現金が少ないとの事なので物々交換をしたのだが、用意してくれた毛皮が熊の行商人いわく珍しい物ではないが傷も少なく仕事が丁寧なので十分売り物になるだろうと言われた。
町では獣族、獣人族だと買い取りが難しい、それか足元を見られて安く買い叩かれていたらしい。
実際にいくらで売れるかはわからないのである程度の小麦粉を渡し、残りは旅の帰りに精算することになった。ついでだから欲しい物も聞いとこうかな。
そんなこんなでいつものように宴会をし、泊めてもらい出発したのだが、仲良くなった子供達が妹ちゃんに
「またきてね~」
とか
「お姉ちゃん、バイバ~イ」
なんて挨拶をするのはわかるのだが、
「アネゴ、また来て下さいね!」
とか
「ボス~、またね~」
等と言われてるのを見るとお兄ちゃん不安になっちゃうな……。
とまぁこんな感じで長かった馬車旅も終わりに近づき王都が見えてきたのだった。
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