193
孤児院テイマー二巻発売中!
さてさて、今日はなにをするか。予定していたギルド関係は、商業ギルドは問題無し。冒険者ギルドに関しては解体が今日には終わるらしいので、こちらも問題無し。その為明日には出発出来るのだが、俺達は暇になってしまっていた。
ちなみに暇なのは俺達四人にサクヤちゃんだ。冒険者組に商人組は解体に付き合うらしい。冒険者組は当然として商人組は多すぎる肉や素材を商業ギルドに売るために行くらしい。
おじいさんと熊の行商人はまた二日酔いみたいで寝ている。明日は出発する予定なので呑まないでほしいのだが……。サクヤちゃんにお酒呑まないように置き手紙でも書いてもらおうかな?
「で、どうすんだ? することないなら町をぶらつこうぜ?」
朝食を食べた後何もしない俺達に痺れを切らしクルスくんが提案してきた。確かにそれくらいしかすることはないか。
「そうだね、とりあえず町に出ようか」
「わ~い、おかいもの、おかいもの~」
「楽しみ……」
確かに考えてみるとこの町に来てから妹ちゃんとサクヤちゃんはすることが無かったな。あとイリヤちゃんもか。今日は三人に合わせて行動しようかな。
さっそく宿を出ると俺達は市場へ向かった。市場といっても屋台や露店が集まった広場である。この時間になると近くの農村から来た人達が朝採りの野菜等を売り始めていた。その中にはこの間買った時の人もちらほら見ることがあった。その為「おっ、今日も何か買ってくか?」だの「今日はこれがオススメよ」だのと話しかけられていた。
「これください!」
妹ちゃんが野菜を買っていく。話しかけられたのを幸いに買い物をしようと思ったのだが、妹ちゃん達がつまらなそうにしていたのを思いだし彼女らに買い物をしてもらおうと思ったのだ。売っている方も農村のおじさんやおばさ……お姉さんなので騙される事もないだろうから安心していられる。
「あっ、あれもおいしそう!」
「あっちにお魚もあったよ……?」
「ほんとに!? ならいこう!」
サクヤちゃんも買い物が楽しいのか妹ちゃんと一緒に元気に走り回っている。二人の事はイリヤちゃんに任せて俺とクルスくんは荷物持ちに徹する。途中、あまりに大量に買うので心配したおじさんがいたが、十人以上で旅をしていると話したら納得してくれたようだ。
「なあ、この買い物いつまでも続くんだ?」
「さあ? イリヤちゃんに聞いたら?」
荷物持ちとなった俺とクルスくんだが、何度も荷物を置きに行く振りをしながらアイテムボックスにしまっていたが、いまだに買い物が終わる気配を見せなかった。というのも買い物が楽しくなったのかイリヤちゃんが二人を連れて野菜以外の露店も回り始めたからだ。
ここは近くの農村から農作物が届き、代わりに農村に必要な物を買っていく為に色々な商品が並んでいたりする。他にもよく見ると野菜を売ってる露店の端っこにも手作りの品物が色々と置いてあった。なんでも畑仕事の合間に作ってるらしい。人によって作るものも違うようで木彫りの置物であったり、衣類であったり置いてあるものは様々だ。
その中で妹ちゃんとサクヤちゃんがとある露店で立ち止まっていた。そこには木で出来たアクセサリーが並んでいた。
「どれか欲しいのがあった?」
後ろから二人に声をかけると
「おさかな!」
「……これ」
妹ちゃんはお魚の形の物を、サクヤちゃんは猫人族? の顔の形をしたものが欲しいみたいだ。
「おっ、そいつを買ってくか? うちの母ちゃんが作ったやつなんだが良い出来だろ? 安くしとくぜ」
なら記念に買ってあげようかな。
「じゃあ、おじさんこれとこれ頂戴」
「私はこれね!」
いつの間にかイリヤちゃんが自分の分を選んでいたので仕方なく購入した。
「おにいちゃん! ありがとう!」
「ありがとう……」
「二人とも良かったわね!」
一部余計な人がまざっているけど喜んでくれたので良かった。そもそも二人にもお小遣いを渡しているので自分達で買えるんだけどなぁ。よくよく買い物をした物を思い出すと皆で食べる物、使う物しか買ってなかった気がする。使いすぎるのも問題だが少しずつお金の使い方を勉強させてこうかな。
孤児院テイマー二巻発売しました。色々なお店をまわりましたが新刊の棚に並んでいると嬉しいものですね。
コミカライズ二話の方も公開しているので小説共々宜しくお願いします。




