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狩りを始めて約一ヶ月が過ぎた。
竜の森に行くペースも3、4日に一度で安定している。
これだけの回数行っているのに果物薬草キノコにいも類はそれなりの数が収穫出来ている。
狩りの方は落とし穴も少し森の奥にも作ったし、毎回鳥を狩ろうとしているが、未だに成果は無かった…。
嬉しい事もあった。植えていた馬鈴薯がもう収穫出来たのだ。味は天然物に比べると落ちるが町で買うものより美味しく、量もそれなりに採れた。植えてから二ヶ月程しかたっていないのに早すぎると思う。やっぱり毎日魔力を流していたのが良かったのかな?
少しずつ畑も大きくなり、魔力を流すのも大変になってきたが、もう少し頑張ってみよう。
魔力と言えばぴーちゃんにも毎日魔力を流していた。そのお陰かはわからないが、体長はもう抱えるのが大変な位になっていた。レベルもいつの間にか3に上がっていた。
モンスターは魔力でレベル上がるのかな?
ぴーちゃんは少しずつ飛び始めてもうそろそろで完全に飛べるようになるだろう。
そうしたら森で狩りの手伝いをしてもらおうかな?
そんなこんなで今日も竜の森に採取に向かった。
いつも通り薬草キノコ芋果物と採取し、一ヶ所二ヶ所と進んでいたら、三ヶ所目の果樹で変化があった。
落とし穴が見えていた。
うん、元々落とし穴は目印があるから見えてるんだけど、そうじゃなくて落とし穴がわからないように隠してた蓋?が無くなっていたんだ。
つまり、何かが落とし穴にハマった、もしくはハマってると言うことだ!!
俺は急いで魔力探知をつかった。確かに何かの反応がある!!しかし、反応は弱々しく穴に居ることを想定してなかったら気付かないくらいだ。
何があるかわからないので慎重に穴に近づき、ゆっくり穴を覗いた。
そこにはお尻があった…。
尻尾付きの可愛いお尻が…。
鑑定で調べると、お尻の正体はホーンラビットというモンスターらしい。レベル1なので、また子供かもしれない。お尻も小さいし。
しかし、なぜこのホーンラビットはこんな格好でここにいるんだ?これくらい小さければ簡単に穴から抜け出せそうなのに…。
俺は疑問に思いながら穴の中を覗いていた。
そして、気が付いた。
「あぁ!角が刺さって動けなくなったのか!!」
ホーンラビットとはその名の通り角の生えた兎だ。
それが穴の底に根本まで刺さって動けなくなったようだ。
そして、逆さまで長時間いたために弱っているのだろう。
問題はこのホーンラビットをどうするかだな。
元々ぴーちゃんの餌を取るために来たんだし、初めて掛かった獲物でもある。血抜きをして孤児院に持って帰るのが正解なんだが、こんな小さい子を殺して持ち帰ったら、孤児院の子供達に泣かれそうだ…。
悩んだ末このホーンラビットは諦めることにした。初めての獲物はキャッチ&リリースで。
地魔法で穴を盛り上げ穴から出した。見事に角が土に刺さっている。弱って気絶しているようなので、そーっと角を抜いてやる。
ついでに回復魔法もかけてあげた。もちろん魔核にもたっぷり魔力をながしておいた。
その後、俺は近くで採取を始めた。ホーンラビットは穴の近くに寝かせ餌代わりに薬草を置いといた。このまま置いていって、何かに襲われたら寝覚めが悪いから起きるまで近くにいる予定だ。
めぼしい物を採り終えた頃ホーンラビットが目覚め始めた。
「キュ、キュイ!?」
目覚めたホーンラビットはキョロキョロしている。
そして、何かに気付いたのかいきなり走り出した。
俺の方に。俺は慌てて避けたがホーンラビットはまた追いかけてきた。
何度か避けていたが、どうやらホーンラビットは攻撃しようとしていたわけじゃなさそうだ。
元々弱っていたのでホーンラビットは倒れてしまった。ホーンラビットにゆっくり近付くと、足をスリスリしてきた。
うん、何か見たことある光景だ。
俺はステータスを確認した。
そこには[従魔:ホーンラビット]の表示が追加されていた。




