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「ん~、やっぱり孤児院の方がうまいな」
「肉が美味しくないのかな?」
「味付けも塩だけだしな」
通りを歩く俺達は屋台で買い食いをしながらギルドを目指していた。
宿は問題なく部屋を取ることが出来た。それから数日泊まる予定なので商業ギルドと冒険者ギルドの場所を確認しようとなり、ギルドを目指していた。その途中、宿の食事だけでは足りないと冒険者組が言うので買い食いをした次第である。なぜかクルスくんも一緒に食べているのだが、晩御飯食べられるのかな?
「ここが商業ギルドか」
「そんなに大きくないね」
たどり着いた商業ギルドはフレイの町のギルドとそれほど違いは見られなかった。
「見た目はそんなに変わらないけど、倉庫はでっかいぜ」
「小麦粉やら芋やらいっぱいあったな」
護衛として何度か来ていた冒険者組はギルド裏の倉庫で荷物の積み降ろしを手伝ったそうで大量の食料品を見たそうだ。
「なら、ここで買えば小麦粉なんかは安いのかしら?」
商人組の子達はさっそく値段を気にし始めていた。
「一番安いのは農村だと思うけどね」
おじいさんが連れてってくれる農村はお肉と交換でかなりの小麦粉を渡していたらしいからね。最近は藁に変えたから喜んでたみたいだけど、肉の価値が高すぎたのかな?
次に着いたのは冒険者ギルド。冒険者組は何度も見てはいるが入ったことは無いらしい。いつも商人の手伝いをしていたからだそうだ。時間的に混んでいる頃だとは思うが明日冒険者組が依頼を受けるつもりなので依頼の下見で皆で突撃した。
「あれ? 思ったより混んでないな」
「時間がずれてたのかな?」
フレイのギルドは夕方になると採取や討伐等の依頼帰りの冒険者が報告、報酬の受け取りに列を作っていたのだが、ここにはガラガラではないが混んではなかった。
理由はわからないが理由を教えてくれる知り合いはいないので、依頼の確認をしに行った。
そして、疑問は解けた。
「なんだこりゃ?」
「ほとんど護衛依頼ばっかりだな」
「討伐依頼はあるけど採取の依頼は見当たらないな」
そう、この町の依頼は護衛ばかりで他の依頼がほとんど無いのだ。あっても討伐、というよりは肉の募集かな? 依頼人が町人で指定が肉の納品になっている。護衛依頼が多いのはやっぱり商業都市としてなのかな?積み荷の整理も仕事に含まれてるし冒険者の依頼は多いけど種類は少ないみたいだった。
「まぁ、元々やろうとしてたのは狩りだから問題無いだろ」
「クイーン達もやる気だろうしな」
今回依頼を受ける理由は冒険者組の他ギルドでの実績積みとクイーン達の息抜きにあるので特に問題も無いだろう。
「んじゃあ、俺達はそろそろ行くな」
あまり長い時間いると迷惑になるので俺達はギルドを出た。そこで冒険者組と別れる事になった。
幸いにも肉の納品は種類は問わず、期限も複数依頼があったので気にしなくても良さそうなので朝直接狩りに行くらしい。
「頑張ってね」
「う~、俺も行きてえな」
クルスくんは一応こっちに泊まるけど性格的に冒険者組と一緒に行動したいらしい。
「なら、一緒に行くか?」
「良いのか!?」
冒険者組が俺達を見たのでうなずいておく。
「朝迎えに行くからちゃんと起きてろよ!」
「わかった!」
これでクルスくんの予定も決まったようだ。その後、俺達はクイーン達の所へ行き、差し入れ兼晩御飯を渡し宿へと戻った。宿ではおじいさんと熊の行商人が酔い潰れていたが、サクヤちゃん含め皆で無視して食事をし眠りに就いた。食事は可もなく不可もなくといったところか? 孤児院の食事に慣れすぎたのか少し物足りなく感じているのかもしれないな。
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