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「そこの馬車! 止まれ!」
槍を構えた衛兵に囲まれ俺達は歩みを止めた。
ここへ来るまで一緒だった商人や護衛からは色々な話を聞かせてもらった。もちろん熊の行商人や冒険者組も知っている事もあったが、馬車での町への入り方などは知らなかったので助かった。
実際、門の所まで一緒に行ってくれたのでスムーズに町に入る事が出来た。……はずだった。
町の門は近くの農村からの農作物を載せた馬車で渋滞が起きていた。しかし、荷物が農作物なために検査に時間はかからずそんなに待つこともなく順番が近づいてきた。そして、門番の所まで後少しというところで、槍を持った衛兵達が走って俺達の所まで来たと思ったら槍を向けられたのだ。
「これはどういうことですか?」
代表して熊の行商人が衛兵達に話しかけてくれた。うん、こういうときに話す人も考えないといけなかったな。
「うむ、そこの狼について聞きたかったのでな、悪いがこのまま対応させてもらうぞ」
「はい、わかりました」
「それで、その狼達はお前達の従魔で間違いないか?」
「はい、そうです。人を襲うことはありません」
「あぁ、その狼達は頭が良いから大丈夫だ」
「我々にも吠えることもなく良い子でしたよ」
「そうか、しかし、従魔といえどさすがに狼は町に入れることは出来ん!」
一緒に並んでいた商人や護衛達も擁護してくれたが、やはりクイーン達を町中に入れることは出来ないようだ。予想通りとはいえ困ったなぁ。というのも仲良くなった商人達から忠告されていたからだ。
フレイの町ではたくさんの従魔を見ていたので町の人達は慣れていたのだろうが、街道を歩く途中何度も商人や冒険者達に驚かれた。その度に従魔だと説明していたので特に問題は起こらなかった。
農村でも驚かれたが村人が少ないために説明するのも時間がかからず大きな問題は無かった。宴会をしたのも良かったのかもしれないな。だが、さすがにここまで大きな町だと説明するのは大変だろうから騒ぎになるかもしれない。そう商人達に言われていたのだ。
「ではどうすれば?」
「そうだなぁ、門から離れた所で野宿してもらうか、衛兵の詰所で預かるかになるが、どちらにせよ誰かはいてもらわないと困るな」
「わかりました、では仲間と少し相談させて下さい」
「わかった。話し合いが終わったら門の所の誰かに話しかけてくれ」
そう言うと、衛兵達は門の方に帰っていった。
俺達も邪魔にならないように列から離れた。離れるときに商人達にお礼を言うのも忘れない。こういう繋がりはどこで役立つかわからないからな。
「それで、どうするんだ?」
「まぁ、入れないのは予想通りだったから野宿で良いんじゃない?」
「だな。二人位交代で残れば大丈夫だろ」
「クイーン達なら襲われる事もないしな」
ということで話し合いはすぐに終わった。元々ある程度は決めてあったので確認するだけだったのだ。
「あっ! そういえばステップホース達やぴーちゃんはどうすればいいんだろう?」
衛兵達はクイーン達の事しか言わなかったのですっかり忘れてた。
門の所へ行き、クイーン達は野宿することを告げるついでに確認したらぴーちゃんは出来れば外で、ステップホース達は普通にして構わないとの事。なんでも貴族や大商人なんかはたまにステップホース等のモンスターを連れていることがあるらしい。チーズの村にもミルホーンがいたし、いるところには従魔はいるのかもしれないな。
その後、急いで野営の準備をし、クイーン達に出来るだけ大人しくしているように頼んでから俺達は町に入る事が出来た。
【祝】2巻発売決定!
皆様のおかげで「孤児院テイマー」の2巻が発売することになりました。
発売日は2019年9月21日金曜日です。
アマゾン様等では予約も始まっているようなので宜しければお願いします。




