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「「「こんにちは~」」」
「おう、元気な子達だな。行商か?」
「「「はい!」」」
「うむ、そのとおりじゃ」
「うるさくてすみませんね、はいこれ、ギルド証です」
隣村に着き門にいるおじさんに挨拶をした。
この村は少し頑丈な柵で覆ってるだけのようで門にいるのも兵士ではなく村のおじさんが槍を持っているだけのようだ。近くに槍を持った老人が椅子に座ってるので、あのおじいさんも門番なのかな?
挨拶をして大声に驚かれたがおじいさんと熊の行商人が対応してくれたので問題なく村のなかに入ることが出来た。
「今、宿は空いてるからな、好きな宿を選べるぜ」
「我々でも泊まれる宿はどこにあるか教えてくれるか?」
門番のおじさんはまだ時間も早いため好きな宿を選べると言ってくれたが熊の行商人は泊まれる宿を確認していた。
「よし、宿は聞いたから行こう」
「ゆっくりしてけよ~」
門番のおじさんに手を振り村に入っていく。
村の中はあまり人がいないみたいで閑散としていた。お店もどうやら少ないみたいで見当たらない。
「なぁ、人が全然いないな」
クルスくんも同じことを思っていたみたいだ。
「まぁ、この村は元々農村だったからな。今は竜の森に行くために宿場町のようになっているんだ」
冒険者組の子がその謎をといてくれた。宿屋と少しの商店以外は皆畑仕事をしているとのこと。ちなみに護衛の仕事の時に商人から聞いた話だそうだ。
「そういえば、なんで宿を聞いてたんですか?」
「そうそう、好きな宿選べるって言ってたじゃん」
質問ついでに俺も質問してみる。クルスくんも冒険者組の子も不思議がっていたみたいだ。
「あ~、冒険者の子達なら平気だが俺やこの子達だと良い宿は断られる可能性があるんだ。冒険者用の宿なら大丈夫な所も多いんだが、ここにはそんなのは無いからな」
『この子達』つまりクルスくんイリヤちゃん妹ちゃんの獣人族、獣族って事か。なるほど、差別は就職だけじゃなくて宿なんかにもあるのか。
「王都みたいなでかい街だと入店すら出来ない店もあるから注意した方がいいぜ」
う~ん、この国? この世界? は妹ちゃん達には生活しにくいみたいだなぁ。孤児院で暮らすのが一番いい気もするけどいつまでもいられないからなぁ……。
「はい、いらっしゃい」
門番のおじさんに教えてもらった宿に着くとおばあちゃんが出迎えてくれた。他に人の気配がないけど一人でやってるのかな?
「この人数だけど大丈夫かい? それと、馬車と従魔がいるんだが」
「はい、今日はまだお客さんはいないから大丈夫ですよ。馬車と従魔も裏に厩舎があるからそちらにお願いしますね」
おばあちゃんとのやり取りは熊の行商人が代表してやってくれた。商人組と俺は近くでそのやり取りを見学していた。
結果、部屋は大部屋が二つ(というかおばあちゃんがいる建物はおばあちゃんの家で宿は離れたところにある平屋だった)大部屋といっても商隊用に新しく作った建物らしく男部屋と女部屋しかなかったので貸し切りとのこと。
厩舎に関しても世話は自分たちでやってくれと言われた。
そもそもここは専業宿ではなく農家の副業らしい。その為おばあちゃん以外は畑仕事をしてるとのこと。
食事は村に食堂がないので作ってくれるそうだ。
大きい街や宿場町なら宿屋兼食堂があるのだがここは最近宿が増えたので建物しか作ってないそうだ。行商人の中には美味しい食堂で宿を選ぶ人もいるそうだ。そういうのもありかもしれないなぁ。
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