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「シュウ、あなたは一人でなんでもやってしまうけど、皆で協力していくのですよ? 他の子の言うこともきちんと聞くのですよ? それと、クルスから目を離してはいけませんよ」


熊の行商人との旅立ちの朝、俺は院長先生から色々と注意を受けていた。まぁ、前科があるのでここは我慢して聞いていよう。

以前に泊まりの練習もさせてもらえなかったので、院長先生からの許可は難しいと思っていたのだが、おじいさんと熊の行商人が頭を何度も下げ、なんとか院長先生の許可を取ってくれたのだ。俺と妹ちゃんが行かなければサクヤちゃんは行かないので当然と言えば当然なのだが……。



「ん? なんだ、坊主ども、今日は森に行かねぇのか?」


孤児院で出発の挨拶をし、街の門、いつもの竜の森へ向かうのとは反対方向の門へたどり着いた。そこにはいつもの門番のおじさんが立っていた。


「おう! 今日は行商に行くんだぜ!」


クルスくんが旅に興奮して答える。


「なるほどな、なら冒険者どもは護衛でじいさんは付き添いか。ん? あんたは確か行商人だったな。ならあんたについてくってことか」


さすが長年? 門番をしているだけはある。クルスくんの一言である程度の状況を把握したようだ。


「じいさん、あんたほどの冒険者なら大丈夫だと思うが子供達に怪我をさせるなよ! それと、坊主どももじいさん達大人の言うことをしっかり聞いてちゃんと帰ってこいよ!」


「うむ、任せろ!」

「「「はい!」」」


「ヒヒィ~ン」

「ウォン!」「「「ウォン!」」」

「おう、お前らもしっかりご主人様を守るんだぞ」


俺達もいるとばかりに自己主張したステップホースにクイーン達、彼らにも門番は頭を撫でながら話しかけていた。

その後、もらったばかりのギルド証を見せ街を出発した。



「なあ、シュウ、お前あの門番知ってるよな?」

「知ってるよ。だから話をしてたんでしょ?」


街を出発し少し歩いた所で冒険者組から話しかけられた。


「お前ら、あの門番に会わなかった事あるか?」

「ん~、ない……かな?」

「あのおっちゃんいつもいるぜ?」

「そうね、見ない日は無いわね」

「いつもいる~!」


俺以外のクルスくんイリヤちゃん妹ちゃんも思い出したがいつも見ているとの事。


「実はな、俺達もいつも見てるんだよ」

「??? それがどうかしたの?」

「門にいるんだから会うんじゃねぇの?」


俺もクルスくんも何が言いたいのか良くわからなかった。


「だからな、俺達が竜の森に行くときも護衛で他の街に行くときも会うんだよ!」

「「えっ?」」


つまり俺達が竜の森に行くときだけでなく冒険者組が街から出るときにも必ずあの門番がいるってこと!? なにそれ、恐い!



冒険者組から恐い話を聞かされ、何も解決せずに悶々としながら進み次の村へとの中間地点の広場に到着した。大抵は徒歩一日で着くここで一泊し次の日に到着するのが基本らしい。

俺達は冒険者組の指示のもと野営の準備を始めた。冒険者組は何度も経験しているし、俺達も前に練習したので手間取ることもなく準備は完了した。何日も続けて野営をする事はないので持参しているが薪拾いや水汲みの練習をしておく。

食事もスープ、柔らかいパン、クイーン達が狩ってきたお肉と普段の食事とあまり変わらない物となった。


「なんか、何にも起きないな」

「何か起きたら大変でしょ!」

「それはそうなんだけど、モンスターに襲われるとか盗賊に襲われるとかないのかな?」

「少なくともこの辺りでは無いな。護衛の仕事が楽で良いけどな」


クルスくんのお馬鹿な話にイリヤちゃんと冒険者組が返事をした。この辺りは竜の森の影響であまりモンスターは出ず、盗賊も交通量が多いので出ないそうだ。確かにこの広場にもいくつもの馬車やテントがある。


「さて、そろそろ寝るか。じゃあさっき言った順番で見張りだ」


こういう場所ではモンスターや盗賊以外にも他の商人や冒険者にも注意しなくてはならないらしい。いわゆる泥棒だ。依頼とはいえ商人組以外は戦えるので順番に夜の警戒をする。妹ちゃんとサクヤちゃんは出来るところまでね。


何事もなく次の日になり、野営の片付けを終え出発する。普通なら夕方には着くとの事だったが、従魔がひく馬車は早く走り、熊の行商人も予想より早く歩いた為に予想より早く村へ到着した。

コミカライズいつから始まるんだろう?楽しみだなぁ~

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