182
「おはようございます。本日はどのような御用件で?」
「えっと、ギルド証のランク上げと新しく登録したいんですけど」
「畏まりました。それでは確認させていただきます……」
俺達は朝から商業ギルドに来ていた。目的はギルド証を手に入れるためだ。そして、元々ギルドに入っていた子のランクアップ。
ギルド証を手にいれる目的は各町をスムーズに通るため。冒険者ギルド証でも大丈夫なのだがそちらは年齢制限に引っ掛かる。その点商業ギルドなら丁稚奉公のような制度があるので幼くてもギルド証が貰えるのだ。まぁ、商業はややこしいので色々な条件があったりするのだが、今回は普段から商業ギルドにポーションの類いを卸していたのが幸いし問題なくギルド証を手に入れることが出来た。
クルスくんイリヤちゃん妹ちゃんは一番下のギルド証、俺はなぜかその上のランクアップしたギルド証となった。お金がかかるので一番下ので良いと言ったのだが、『アイテムボックス』を持ってるし何かしら矢面に立たされる事が多いからとこれにされた。
ギルド証を手に入れた事からわかると思うが俺達は熊の行商人の奥さんの所へ向かう事となった。理由はおじいさんがハチミツ酒を欲しがったためだ。
普段からお世話になっているのでハチミツ酒を頼むのもおじいさんにハニービーのハチミツを分けるのにも異論はない。そして、熊の行商人と意気投合したおじいさんが一人で行くと思ったのだが、なんとこのじいさん「サクヤと離れたくない!」と言い出したのだ。
しかし、サクヤちゃんも旅に出たいわけでもないしハチミツを取られたので少しむくれている。だがここでおじいさんは起死回生の一手を打った。妹ちゃんの説得に走ったのだ。
「今度旅をしてみないか? サクヤとシュウと一緒に。美味しいものが食べられるかもしれんぞ?」
「いくー!」
この言葉に妹ちゃんは乗り気になってしまったのだ。もちろん俺は妹ちゃんの願いを断れるはずもなく、そして、サクヤちゃんも妹ちゃんの勢いに押され旅に出ることになってしまったのだ。
そうなると話はどんどん進み、俺と妹ちゃんが行くのでクルスくんとイリヤちゃんが参加することになった。そして、どうせ行くなら色々売りに行こうとなり、商業ギルド証を持つ子が加わり職人組も色々と売るものを作り始めた。
おじいさんがいればどうとでもなりそうな気もするが人数が増えたので冒険者組に護衛を頼むことになった。この時、熊の行商人の助言で冒険者組に指名依頼を出しておいた。こうすることで冒険者は依頼を受けられランク維持もしくはランクアップを狙え、商人はお抱え冒険者の箔がつくとのこと。手数料が少しかかるが大きい商会や有力な冒険者には良くあることらしい。
その後も商業ギルドで他の街で高く売れる商品を聞いたり、逆にここで高く売れる他の街の名産品を聞いたりした。
冒険者組は旅に必要な物の買い出しをお願いした。護衛の時に商人達が何を使っていたか思いだしてもらったのである程度の物は揃えられるだろう。また、先輩冒険者からよその街の情報も聞いてもらった。名物料理なんか聞き出せたらありがたいんだけどなぁ。
おじいさんはハニービー達と孤児院の子供達とハチミツの取り合いをしていた。ハニービー達はギリギリの量までくれたのだが、孤児院の子供達は泣いてしまったのでおじいさんは泣く泣く孤児院にハチミツを渡していた。
そんなこんなで熊の行商人が旅立つ準備が出来たと言うのでついに俺達は旅に出ることになった。
「孤児院テイマー」のコミカライズがもうそろそろ読めるようになりそうです。めっちゃ楽しみです!
というか、二巻の発売日が決定してる!?




