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森のなかで熊と出会う。なんとも童話のような出来事だ。まぁ、普段から熊型モンスターと戦ったりしているので珍しくはないのだが、今回は話す熊、もとい熊族の人だからだろう。


「話ですか? こんな森の中で?」


俺も警戒しながら熊族の前に出る。その姿は冒険者に見えず旅姿のように思えた。まぁ、こんなところに旅をする人はいないんだけどね。


「それに、あなたは誰ですか?」


続けて質問をする。こちらは冒険者風の格好をしているので違和感はないが熊族は違和感しかないからね。


「俺はガイ、行商人だ。ほれ、ギルド証もある」


「行商人? こんな所にですか?」


「あ~、まぁちょっと事情があってなぁ。それで、お前さん、というかお前さん達に頼みがあるんだが……」


あら、仲間がいることはバレてるのか。見た感じ隙もないし強そうだな。気になったので『鑑定』してみたが、やっぱり強いなこの人。レベルも高いしスキルもある。それがなんで行商人?


「頼みですか?」


クルスくん達の事は話さず頼みの内容を聞く。


「あぁ、良ければなんだが君達が採取した薬草を買わせてもらえないか?」


「薬草をですか? それなら町で買えば……」


「普通ならそうなんだが、今あの町では買えないんだ」


その後、何度か問答するとガイさんは冒険者を辞めて行商をして暮らしているらしい。そして、ある時儲かる場所があると聞きこの町へとやって来た。だが、話に聞く薬草類は商業ギルドでは品切れ、ほかの商店では熊族ということで法外な値段を吹っ掛けられたらしい。その為、自分で採取し、あわよくば直接買い付けようとしたのだとか。


「ならもっと人が多いところにいた方がいいんじゃないのか?」


話を聞くうちに問題無さそうと感じクルスくん達も近くに寄ってきていた。まぁ、ある程度の距離は開けているが。


「最初はそっちに行ったんだがな、みんな断られたんだ。『お前らに売るやつはねぇ!』ってな」


「相手が悪かったのか? なら獣族や獣人族の冒険者はダメだったのか?」


「いや、彼らは売ってくれたが依頼もあるから少ししか買えなかったんだ」


「それで、俺達に? よくこんなところまできましたね」


「いや、君達は偶然見つけたにすぎないよ。売ってくれる人がいないから自分で採取するしかないと探し回ってたら君達がいたんだよ」


確かに買えないなら自分で見つけるしかないか。あぁ、だから格好が旅装なのか。


「ちなみにどれくらい必要なんですか?」


「売ってくれるのかい? なら、あればあるだけ買いたいが……」


その後、俺と熊の行商人の交渉が始まった。……が、それはすぐに終わった。熊の行商人が提示した買取価格は商業ギルドの販売価格と同じなのでこちら側は充分得だったからだ。また、こちらが出せる薬草類も余裕があったため、種類、量、共に多く熊の行商人がお金が足りないと困るほどだった。


そして、妥協案として熊の行商人がこちらで売るために持ってきた品物と物々交換しないかと持ち掛けてきた。正直何があるのかはわからないが普通に売れるものを持ってきているはずなので、まずは品物を見てからということになり、後日俺達の屋台で再会する約束をしその日は別れる事になった。

『孤児院テイマー』コミカライズ8月下旬開始との事。楽しみすぎる!

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