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「うわぁ~、すごいな……」

「おにいちゃん! さくやちゃん! おそらすごいね!」

「ピュイ~~~~」


ぴーちゃんの隣でいつものメンバーは空を飛んでいた。当然自分達の力ではなくおじいさんの魔法によるものだ。感覚的には風に包まれて運ばれている感じなのだが足場が無く踏ん張りがきかないので足元が不安定で落ち着かないでいる。その証拠に


「おい、まだ着かないのか!?」


クルス君が尻尾を股に挟んで目を瞑り少し震えていた。隣ではクイーンも尻尾を股に挟んでいた。こうしてみると二人はそっくりだ。

妹ちゃんは高いところ、というよりも高過ぎる所に少し怯えていたが俺とサクヤちゃんと手を繋いでいるので大丈夫みたいだ。イリヤちゃんは楽しそうに遠くを見回している。残念ながらミュウはお留守番だ。


「おにいちゃん! あそこ、うしさんがいるよ!」

「いっぱいいるね」


妹ちゃんが言う方を見るが遠くてよくわからない。探知系のスキルで調べると反応がいくつもあった。おそらくこれがミルホーンの反応なのだろう。おじいさん達が連れてきたのもきっとこの辺りに生息していたミルホーンだと思う。

探せばビッグコッコやファイティングブルもいるのかもしれないな。



草原系のモンスターでわかるように今俺達は山の向こう側を飛んでいた。いつもおじいさんがモンスターを捕まえたり、おじいさんが行っている農村があるところだ。

ここに来たのはおじいさんおばあさんにチーズの作り方を知らないか聞いたところ、いつも行く農村がチーズを作っているというので、そこへ連れていってもらうためだ。正直企業秘密で作り方は教えてもらえないかもしれないが、村の特産なら見学くらいはさせてもらえるかもしれないと思っている。


「シュウ、畑が見えてきたからそろそろ村が近いんじゃない?」


「ほんとだ、おじいさんそろそろ降りた方が良いんじゃないですか!?」


「そうじゃな、土産も欲しいしあちらに降りるか」


そういうとおじいさんは農村があると思われる方向と少し離れた所におろしてくれた。

地面に降り立つとクルス君は小鹿のように足をぷるぷると震わせていた。クルス君以外もやはり飛ぶのに疲れたのか体をほぐしている。俺もおじいさんが魔法を使っているので大丈夫だとはわかっていても精神的に疲れてしまった。

少し休憩した俺達はさっそくお土産探しを始めた。お土産とはいつもおじいさんが村に行くときに狩っていくモンスターの事だ。

俺は探知系のスキルで探したがいくつか反応があり、どれがどのモンスターかわからなかった。おじいさんに聞くと


「そんなもん片っ端からまわってけばいいじゃろ」


と言われてしまった。仕方がないので見つけた反応を順番にまわることにした。クイーンやぴーちゃんが手伝ってくれたので思ったより時間がかからなかったのはありがたかった。

ファイティングブルの肉は美味しいから村人達もきっと喜んでくれるだろう。もちろん自分達の分も確保するのは忘れていない。

ミルホーンも一匹だが捕まえてある。チーズを作っている以上ミルホーンを飼育しているらしいので喜ばれると思う。ミルホーンは大人しいので従魔にしなくても飼えないことはないらしい。まぁ前提条件に広い土地に豊富な餌は必要らしいがこの草原なら問題無いらしい。

お土産も手に入れ農村へ向かおうとしたのだが、クイーンよ、その後ろにいる狼達は何なのか?


「ワオ~~ン!」

「「「ガゥ!」」」


そう、また仲間を増やしたのね……。これだけ懐いてたら従魔にしなくても良いんじゃないかなぁ?

牧場が出来て見回りしてくれる狼が増えるのはありがたいんだけど、クイーンって最初一匹狼だったんじゃなかったっけ!?

2019年5月24日金曜日

本作「孤児院テイマー」無事に発売しました!おかげさまで重版もかかりありがたいことです。

コミカライズも決まりこれからも盛り上がる予定ですので宜しくお願いします!

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