162
おじいさんの所では従魔達を柵で囲ったりはせずに自由に活動させている。元々森以外は何もないし、森に入っても奥へ行くと危険なのであまり入らない。なので安心している。
その広い土地をステップホース達が元気に走り回っていた。草原というほど草が生えているわけではないので今度蹄鉄でも作ろうかな? と思ってしまうくらい元気に走り回っていた。
だが待ってほしい。まだうちのステップホースはお腹が大きくなり始めたばかりとはいえ走り回れるほどじゃないはずだ。そもそも赤いスカーフも身に付けてないし見覚えのない顔だ。なら野生のステップホースか?草食系の魔物は大人しいのが多いとはいえ、それでも周りにいるミルホーン達が気にしてないのも気になるところだ。
「なあ、シュウ。あれ何者だ?」
「うちの馬じゃないわよね?」
一緒に見ていたクルス君達もステップホースに気が付き質問してくる。
「いや、さっぱりわかんない。でも、心当たりはあるかな」
そう、こんなことの原因は一人しかいないだろう。
「お、さっそく見ておったか!」
噂をすればなんとやら、おじいさんが現れた。
「おじいさん、あのステップホースはおじいさんが?」
「うむ、せっかく子供が産まれるんじゃ、友達は必要じゃろ!」
やっぱり犯人はおじいさんだったか。でも、友達ってことはこの馬も妊娠してるのかな?
「師匠!じゃああの馬にも子供がいるのか!?」
「いや、まだおらんじゃろ。じゃがそのうちできるじゃろう。それに馬車をひく馬も必要じゃったろうしな」
確かに新しい馬が来るのはありがたい。
「でも、従魔にしてないけどなんでここから逃げないの?」
「ふむ、まぁ儂が連れてきた。というのもあるが草食の魔物じゃからな。危険がなければそうそう逃げんのじゃろ」
なるほど、やっぱり草食は大人しいのかな?まぁ、ホーンラビットは元気なのもいるけど……。
「それよりも早く従魔にせんのか? せっかく捕まえたのに」
おじいさんに言われ冒険者組にも手伝ってもらい馬達を追いかけた。馬達は追い駆けっこだと思ったのか俺達を恐れること無く一定の距離を保ちながら走り続けていた。
一時間位たっただろうか、馬達は満足したのか自分達から近づいてきてそのまま従魔にすることが出来た。
予想外の出来事はあったが牧場化と言えばいいのか従魔達は問題なく過ごしているようだった。
そうなると問題になるのが卵やミルクをどうするかだ。今までは孤児院とおじいさんの所にいてそれぞれが食べて飲んでいた。むしろ孤児院では足りない位だった。
今度からは全ての物がおじいさんの所で出来るので孤児院に運ぶ手立てを考えなければいけないのだ。卵は常温でもそれなりにもつらしいので考えるならミルクについてだろう。そして、思い付くのはやはり『冷蔵庫』だろうか……。
この世界において冷蔵庫のような魔道具はほとんど見かけない。それは必要無いからだ。
一般的な魔道具は火や水を出したり照明に使うようなのが多い。それは当然使うことが多いからだ。しかし冷蔵庫は違う。物を冷やすという事をほとんどしないからだ。いや、冷やすものが無いと言った方が良いのかな?
穀物や野菜は常温で平気だし飲み物も冷やさない。冷やした方がいい肉や魚も食べない分は干し肉や干物にする。そもそも肉や魚は食べる分しか買わないのが基本だ。
実際問題今までの生活のなかで火や水、明かりの魔道具、それと魔法の鞄のような物以外必要としたことはなかった。現代社会にあるような道具を魔道具として作れば便利にはなるだろうが今はあまり必要性を感じないし、これ以上仕事を増やしたくないのでその辺りは追々考えよう。
『孤児院テイマー』の発売日が決定しました。
2019年5月24日金曜日です。
ご予約宜しくお願いします。




