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兵士詰所を後にした俺達は大通りを歩き冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドは町の中心にあり、石造りの三階建てでとても大きかった。
中に入ると、正面にカウンターがいくつかあり、右側には掲示板がある。左側には薬や武器防具等を売るお店があった。
マンガ等でよくある酒場はなく、初めてギルドに来て絡まれるイベントは起きなかった。まぁ初老の女性と三歳児に絡もうとしたら冒険者として終わっているだろう…。
そんな事を考えていたらカウンターに着いた。
「おはようございます。本日はどの様な御用件でしょうか?」
カウンターにいた受付嬢から話しかけられた。
「おはようございます。今日は従魔についてお話をしたいのですけど、担当の方はいらっしゃいますか?」
「従魔と言うと、そちらのリトルイーグルですか?」
「えぇ、この子が従魔となったので、登録と言うかお知らせに来たのだけれど…」
「登録ですか?申し訳ありません。従魔については特に登録する必要はございませんが?」
「それについては兵士さんに聞いたわ。その兵士さんに、冒険者が攻撃するといけないからギルドに知らせた方が良い。と言われたのよ」
「なるほど、住人の従魔ならば資産ですからね、もし冒険者が攻撃したら、下手すれば犯罪になるかもしれませんね」
「ですからギルドの方でこの子は従魔だと広めて欲しいのです。」
「分かりました。冒険者でしたら有料ですが、住人の方なので無料で伝えさせていただきます。」
「お願いしますね」
「それで、登録されるのはどなたですか?それと、そちらのリトルイーグルに何か目印はございますか?」
「登録は孤児院のシュウでお願いします。目印は…どうする?」
と、院長先生は俺に話かけてきた。
目印なら何かアクセサリーでも着ければ良いんだが、そんなお金はないのでスカーフでも巻くことにするか。
「じゃあ、スカーフを巻くのは?」
「そうね、じゃあ、スカーフを巻いたリトルイーグルでお願いします」
「畏まりました。それで、何色のスカーフにしますか?」
「あか~♪」
「ピュイー♪」
スカーフの色を聞かれたところ、妹ちゃんとぴーちゃんが同時に叫んだ。
俺も院長先生も受付嬢も一瞬ポカーンとしたが皆笑ってしまった。
「では、赤いスカーフでお願いします」
「分かりました。では、赤いスカーフを巻いたリトルイーグルは孤児院のシュウ様の従魔であるので攻撃しないように掲示板に貼らせていただきますね」
「お願いします」
「「おねがいしま~す」」
「ピーー」
俺達は笑顔で冒険者ギルドでの話を終えた。
冒険者ギルドを出た俺達は生地屋に向かった。
院長先生馴染みのお店らしい。子供達の服はほとんどが院長先生の手作りだ。これも安くするためらしい。
今回生地屋に向かうのもぴーちゃん用のスカーフを作る為である。
妹ちゃんもぴーちゃんも上機嫌だ。ってか、ぴーちゃん言葉を理解してるのか!?
生地屋に着いて、生地を選ぼうとしたら妹ちゃんとぴーちゃんが二人?して選び出した。
俺と院長先生、生地屋のおばちゃんは微笑ましそうに眺めていた。
体格に比べ少し大きめに生地を選び購入した。まだ子供なのですぐに大きくなるだろうからな。
生地屋のおばちゃんにあいさつをし、三人と一羽は孤児院に帰った。
孤児院に帰るとすぐに妹ちゃんとぴーちゃんは院長先生にスカーフをねだり、苦笑しながらも院長先生はスカーフを縫ってくれた。
赤いスカーフのまぶしいぴーちゃんが誕生した。