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屋台がある程度落ち着いてきたので俺達は久しぶりに冒険者活動を再開することにした。
屋台で従魔達の協力が必要だったために俺は森へ行くことが出来ず、交代で森へ行っていた冒険者組はあまり大きな獲物を狩ることが出来なかったのでクルス君共々気合いを入れていた。
こういうときは『アイテムボックス』を俺一人しかもっていないのが残念に感じてしまう。おばあさんに協力してもらい魔法の鞄を改良するべきか悩むところだ。
俺達四人に従魔達、冒険者組に生産組含むおじいさんの所へ行くメンバーを合わせると20人以上の大所帯となった俺達はクイーン達が牽く狼車と共に竜の森を目指し進んでいく。
「あぁ~、久しぶりに森へ行けるや」
「クルスには屋台は向かなかったな」
「クルスは走り回ってるのが似合うからな」
「今回は肉が目的なのを忘れるなよ!」
道中浮かれているクルス君を皆でからかいながら進むとほどなくおじいさん達の家にたどり着いた。
おじいさん達の家に着いた俺達は久しぶりに会う従魔達の所へ向かった。生産系の従魔だけでなく、今回ステップホースはこっちにいた。屋台がそれなりに時間がかかると思ったのでこっちで自由に走り回れるようにしていたのだ。
従魔達をかまってから世話をしてくれる子達や生産組と別れ冒険者組と一緒におじいさんに合流した。
「やっと来おったか、待ちくたびれたぞ」
「師匠!今日はたくさん狩れるかな?」
「久しぶりじゃからな、魔物も増えておるから大丈夫じゃろ」
久々に狩りが出来るとあってクルス君とおじいさんが張り切っている。心なし冒険者組も興奮しているようだ。
「サクヤちゃ~~ん!」
「久しぶり~」
妹ちゃんとサクヤちゃんも会えて嬉しそうだ。屋台をしているときもおじいさんが何度か街に来てくれたので会えなかった期間が長いわけではなかったんだけどね……。
「早く行こうぜ!」
挨拶もそこそこに急かすクルス君の為に早速狩りに出発した。
森を警戒して進むが確かに前回よりも気配が濃いような気がする。
「ワゥ~~ン!」
「先行くぜ!」
早速とばかりにクイーンが狼達を連れて、おじいさんがクルス君を連れて走っていってしまった。
残された冒険者組と一緒に俺達はギルドの依頼の品や屋台で使えそうな食べ物を探していく。
「けっこう見つかるな」
「久しぶりだからね」
「おっ、そっちにもあるぞ!」
冒険者組が交代で来ていたとはいえ一ヶ月近く森に来ることがなかったので予想以上に大量の薬草、野菜、果物、香辛料を採ることができた。
俺達が採取をしている間何度もクイーン達やピーちゃんが狩った獲物を持ってきていた。正直狩りすぎというか解体するのが大変な量になってきていた。採取の途中からは血抜きをしながら進むことになった。クイーン達でこの量ならおじいさんとクルス君はどれだけの獲物を狩ってくることやら……。
採取を続け、途中小休憩や昼休憩を挟みながらも夕方前にはおじいさんの家に戻ることが出来た。その間おじいさんとクルス君は一度も戻って来なかったのだがどうやら先に帰っていたようで二人で訓練をしていた。クルス君は狩りをして疲れてないのだろうか?
「遅いぞー!」
「今日は大量じゃぞ!」
俺達を見つけた二人が話しかけてきたが、笑顔でいることに嫌~な予感しかしないのは俺だけではないと思いたい……。
担当さんからは正式な発売日は聞いていないのですが、どうやらAmazonさんやアニメイトさんで予約が始まっているみたいです。
宜しくお願いします!




