15
孤児院に帰った俺達は、さっそく院長先生に説明に行った。
森の中で冒険者を見つけた事。
その後傷付いたモンスターを見つけた事。
モンスターの手当てをしたら懐かれた事。
そして、いつの間にか従魔になっていた事だ。
もちろんぴーちゃんに矢が刺さっていたことは言ってない。回復魔法はナイショだからだ。妹ちゃんにもナイショにしておくように言ってある。いつまでナイショに出来るかは謎だが…。
それと、カモフラージュにぴーちゃんには布を包帯代わりに巻いてある。
今もうまく飛べないから怪我をしてるとごまかせるだろう。
結果としてはぴーちゃんは孤児院で飼えることになった。
まぁ、孤児院を経営してる人がモンスターとはいえ怪我をした子供を見捨てるはずはないよな。
ただ、やっぱり問題はあった。
町中でモンスターを飼っていいのか。
それと、やっぱり飼い方がわからない事だ。
わからないことは聞けば良いと、明日兵士詰所、冒険者ギルドに行くことになった。
飼い方はまぁ習うより慣れろで色々試しながらいくことにした。
次の日、俺と院長先生、ぴーちゃん、なぜか妹ちゃんで兵士詰所に向かった。
ぴーちゃんは俺に抱っこされて上機嫌だ。
兵士詰所は町の入口の門の脇にある。元々孤児院は町の端にあるのでそう遠くはない。
町の入口が見えてくると、これから竜の森へ向かうであろう冒険者が多くいた。
詰所の方に近付くとちょうど兵士が詰所から出てくるところだった。
「あっ、院長先生おはようございます」
「はい、おはようございます」
「「おはよーございます!!」」
俺達に気付いてあいさつをしてきた兵士にこちらもあいさつをした。
「今日はどうしたんですか?子供達まで連れて。ってモンスター!?君たち、急いでそのモンスターから離れるんだ!!」
ぴーちゃんに気付いた兵士は慌てて腰にある剣を抜き、こちらに向けた。
その動きを見て、今度は院長先生が慌てて
「あぁ、待ってちょうだい。この子は大丈夫よ。今日はこの子について相談に来たのよ」
「相談…ですか?」
兵士は剣を構えながら聞き返す
「えぇ、この子、リトルイーグルは従魔になったのよ。」
「従魔ですか!?それはまた珍しい…。」
従魔と言う言葉を聞いて兵士は警戒しながらも剣を下ろした。
ふと、気付くと妹ちゃんが俺の前に立ち
「ぴーちゃんいじめちゃ、めっ!」
と兵士に威嚇していた。
兵士は剣を鞘に収め
「あぁ、別に苛めてた訳じゃないんだよ。」
と妹ちゃんに言い、院長先生に向け
「そのモンスターが従魔だと言うのは、まぁ、分かりました。子供達を襲う様子もありませんからね。では、今日はどんな相談を?」
とたずねた。
「えぇ、ちょっと聞きたいのだけど、従魔を育てるのに何か許可は必要なのかしら?」
「いえ、許可は必要ありません。と言うよりも、従魔は珍しいので、あまり詳しいルールが無いというのが現状ですね」
「あら、そうなの?」
「はい。ですが、許可は必要ありませんが、町中にいると住人が驚くでしょうから、何か目印が必要かもしれません」
「なるほど」
「後は我々兵士にも情報をまわしておきましょう。攻撃をしてしまうかもしれませんからね。」
「そうしていただけると助かります。冒険者の方は大丈夫かしら?」
「そちらもギルドに行って同じ様に情報をまわした方がいいかもしれませんね」
「ありがとうね。では冒険者ギルドに行ってみるわ。」
こうして兵士達に対しては驚くほどスムーズに話を終える事が出来た。