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『グギャァァァァァァァ』
スドォォォォォォン!
トレントは絶叫をあげながら根本から切り倒された。
「あ、あれ!?」
「……おぃ」
「……シュウ?」
「お前……」
「おにいちゃん、すご~い!!」
トレントが倒れ俺を含め皆が唖然とするなか妹ちゃんの声だけが響いていた……。
「じゃあ、あそこの木がトレントだと想定して行動するよ!」
『魔力探知』で確認出来た反応を皆で確認し、これからの行動を考える。
「ならクイーン達は今まで通り周辺の警戒だな」
「俺達は左右に別れて包囲か?」
「そうだな。先制はシュウの魔法で、その後は切り倒す事に挑戦して、ダメなら魔核狙いに変更。その時は位置の指示出しはシュウ、任せるぞ」
「わかったよ」
冒険者組を中心に皆で作戦を考える。
生産組は初めての相手のために後ろで備えてもらう。レベルは10を越えているが戦闘経験はそんなにないからね。
話し合いを終えた俺達は準備を整えトレントを中心に配置に着いた。
それなりに話しているし動いてもいるのだがトレントは動く素振りも見せなかった。
『魔力探知』では確かに木に反応があるのだが、ここまで何も反応が無いと不安になってくる。
しかし、それは攻撃すればわかること。俺は魔力を練り上げ風の刃を放った。
風の刃はトレント(推定)を通り過ぎると後ろの木に傷をつけ消滅した。
トレント(推定)はトレントで合っていたようで悲鳴をあげて倒れていた。
どうやら無事にトレントを倒すことが出来たようだ。というよりもあっけなく倒してしまい皆、呆気にとられていた。
周りをよく見るとクイーンさえもぽか~んとしていた。
「え、えっと、やっぱりトレントであってたみたいだね」
「あってたけど、お前一撃って……」
「シュウってそんな強かったか?」
「……とりあえず、ここにいてもしょうがないから行かない?」
周りの皆はまだ何か言いたそうだったけど、トレントをこのままにするほうがまずいということで動き出した。
『魔力探知』では倒れたトレントから確かに反応はある。
ただ、生きているのか死んでいるのかの判断が難しい。
ある程度近づいたところで皆で石を投げ動くかどうか確認した。
石がぶつかるが反応は無いので、やはりトレントを倒したのであろう。
トレントのそばにたどり着くと皆がトレントを確認していく。俺も『鑑定』してみたがトレントで間違いないようだ。
「にしてもトレントって簡単に倒せるんだな」
「シュウの魔法で一発か」
「トレントが高いのは見つけるのが大変だからか?」
「それは違うぞ」
皆がトレントについて話しているとおじいさんが会話に加わった。
「あれはトレントの中でも柔らかい木じゃ。じゃから小僧の魔法で簡単に倒せたんじゃな」
「柔らかい木?」
そう言われ生産組の子がトレントを調べ始めた。
「なるほど!」
「これは高く売れないな」
そして、何かに気付き納得していた。
「いったいなんなんだよ!?」
焦れたクルス君が二人に詰め寄った。
「落ち着けクルス」
「今説明するよ」
「これはな、トレントの中でも木材としては下級品なんだよ」
その言葉を聞いた僕達は混乱するのであった。
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