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「リンちゃん、お鍋の味みてくれる?」


「ゴブッ!」


「リンちゃん次はこっち手伝って!」


「ゴブ~!!」




ゴブリンの赤ちゃんを連れてきてから一ヶ月程経過した。

今ではゴブリンの赤ちゃんだった「リン」は台所に欠かせない存在になっていた。



こうなったのには理由がある。ゴブリンとはいえ赤ちゃんなので大きくなるまで数年はかかると思っていたのだが、赤ちゃんは二週間程で大人へと成長したのだ。


おかげでゴブリンの繁殖力の謎が解けた気がする。


また、二週間程で大人へと成長したために問題も起きた。

サクヤちゃんが赤ちゃんに会えなかったのだ。

サクヤちゃんは次の週に来る予定だったが、日に日に大きくなる赤ちゃんに気づき、慌てておじいさんへとピーちゃんに手紙を届けてもらったのだ。

しかし、手紙を出したからとすぐに来られるはずもなく、サクヤちゃん達が到着した頃にはすでに赤ちゃんではなくなっていた。


おかげでサクヤちゃんが泣き出してしまって大変だった。

サクヤちゃんには大きくなった赤ちゃんを見せなんとか泣き止んでもらった。大きくなったと言ってもまだ妹ちゃんやサクヤちゃんよりも小さいので泣いてる姿を見せたくなかったのだろう。

二人してお姉ちゃんお姉ちゃんしてて微笑ましかった。



名前については連れてきた当初皆から


「ゴブリンちゃん」「ゴブリンちゃん!」


と呼ばれていたのに加え、どうやら女の子だという事がわかり、途中からは短くなり


「リンちゃん」


と呼ばれ、名前が「リン」になった。


その後は孤児院の子供達と一緒に行動し始め、孤児院の仕事を色々手伝い始めた。

その中でも裁縫と料理に才能を発揮しスキルを獲得。その為今では食事作りに欠かせない存在になっていた。



また、赤ちゃんから育てたからかゴブリンの女の子が珍しいからなのかわからないが、嬉しい誤算もあった。

なんと、回復魔法が使えたのだ。

それも俺が使うようなスキルのない魔法ではなく、しっかりと神聖魔法スキルでの回復だ。

いったいなんの神を信仰しているのかわからないが、いつの間にかスキルを覚えていた。おそらく赤ちゃんの時から回復魔法をかけ続けていた事が関係しているとおもうのだが…。


リンちゃんが神聖魔法を覚えたおかげで一つ試したいことができた。

あの呪われたナイフの解呪だ。

長い間コツコツと魔法をかけ続け、呪いは弱まったのだが解けることは無かった。

しかし、スキル持ちがしっかりと解呪すればきっと呪いは解けるだろう。


その後、時間が空いた時にリンちゃんに回復魔法の時のように解呪の魔法を流し、その魔力に馴れると共におばあさんには魔法についての勉強をみてもらっていた。


そのおかげか、リンちゃんだからなのかはわからないが無事にリンちゃんは解呪魔法を習得することが出来た。



「やっと呪いが解けるのか。」


「今まで頑張ってたもんね。」


今日、呪われたナイフの解呪をする事になった。

俺とリンちゃんの他クルス君にイリヤちゃん、妹ちゃんに冒険者組が集まっていた。

皆俺が今まで解呪に挑戦していたのを知っているので気になって集まったらしい。

他にもおじいさん、おばあさん、サクヤちゃんもいる。何かあったときに対応してもらう為だ。


「それじぁあリンちゃんお願いね。」


「ゴブッ!」


俺は鞘に入ったままのナイフをリンちゃんに渡した。

リンちゃんは一度深呼吸をすると魔法を唱えた。


「ゴブ。」


するとナイフがほのかに輝き次第に光が強くなった。

しばらくするとナイフは弾けるように強烈な光を放ち、光が消え去った。


俺はナイフを鑑定してみると【体力低下】【筋力低下】【速度低下】の呪いが【体力上昇】【筋力上昇】【速度上昇】に変わっていた。

ついでに【聖属性】まで加わっていた。


こうして長年解呪し続けていた呪われたナイフは無事に呪いを解くことに成功したのだった。

【孤児院テイマー】が

【HJネット小説大賞2018】を受賞しました。

本作書籍化決定です。

応援宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] な、なるほど…。 ゴブリン=邪悪というイメージで凝り固まっていましたが、ゴブリンシャーマンっていますよね。 呪いをかける方って気もしますが。
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