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なんとか間に合った。
次の日俺達は洞窟の近くにいた。
これからゴブリンの巣になっている洞窟を攻略する予定だ。
だが、俺は少し疲れていた。
昨日は洞窟から離れた所で野営をした。本当は水辺の近くやある程度ひらけた場所が良かったのだが、森の中なので諦め、洞窟方面、ゴブリンに見つからない事を意識した。
洞窟への偵察は二人ずつ交代でおこなった。夜まで続けたが、何匹ものゴブリンが出入りしていたのでゴブリンの巣なのは確定だろう。
「やっぱりゴブリンの巣だったな!明日は巣を潰すんだろ?」
「そうだね、おじいさんにも言われたし、良い経験になるしね。でも、油断は禁物だからね。」
「だな。クルスは落ち着きが無いからな。」
冒険者組からもクルス君に注意がとんでいた。
「とりあえずは交代で見張りをして明日に備えるか。」
冒険者組からの指示で三組に分けて交代で見張りをすることになった。
このあたりは冒険者組は何度も野営をしているので頼りになる。ただ、森で野営をしたことがないので少し心配していた。
見張りの組分けは
おじいさん、妹ちゃん、サクヤちゃん、イリヤちゃん組
冒険者組の前衛の男三人で一組
俺、クルス君、冒険者組の弓使いの女の子で一組だ。
見張りの順番もこの通りで一番面倒な真ん中を冒険者組が担当してくれることになった。
ちなみに妹ちゃんとサクヤちゃんは眠るまでの見張りで実際はおじいさんとイリヤちゃんが頑張ってくれる。
交代のタイミングは冒険者向けのお香があるのでそれが燃え尽きるまでになっている。ある程度の大きさの目安があり、時間をある程度計れるのだ。
お香は虫除けが基本だが、高いものだと弱いモンスターを避けるものがある。
今回は自作のモンスター避けだ。
「シュウ、悪い起きてくれ!」
寝ていた俺は冒険者組の子に起こされた。
「ん…、もう交代?」
「いや、まだ時間じゃないがちょっと困ったことがあってなぁ…。」
「困ったこと?」
「あぁ。見てもらった方が早いか、ちょっと来てくれ。」
そう言われ、俺はテントから出た。
「それで、困ったことって?」
「もうすぐわかるよ。」
周りを見回すと他の冒険者組の子は周囲を警戒していた。
クイーンと子狼一匹も周囲を警戒している。
「ウォン!」
「来たみたいだ。」
言われて周囲を探知してみるとモンスターの反応があった。
少しすると、モンスターはその姿をあらわした。
現れたのは二足歩行の骨。いわゆるスケルトンと火の玉のようなもの、ゴーストだった。
スケルトンは小柄で人間ではなくゴブリンのスケルトンかもしれない。よく観ると後ろの方に四足歩行のスケルトンもいた。
「困ったことってモンスターが倒せないとか?」
「いや、倒せるには倒せる。けど、スケルトンは問題ないんだが、ゴーストが問題なんだ。」
「ゴーストの何が問題なの?」
話をしている間にも他の冒険者の子とクイーン達でスケルトン達を倒していた。
しかし、よく見ると冒険者の子はゴーストを、クイーン達はスケルトンを倒していた。
「あれっ?なんで別々のモンスターと戦ってるの?」
「それが困ってる原因だな。」
「どういうこと?」
「よく二人を見てみろ」
そう言われ、二人を見ると冒険者の子はゴーストを中心に戦っているがスケルトンも倒していた。
「あれ?よく見ると二人はゴーストもスケルトンも倒してるね。」
「そうなんだ、二人はいいんだがクイーン達がゴーストを倒せなくてこうなってるんだ。」
そういえば、前にギルドでモンスターを調べた時に聞いた気がする。攻撃力はたいしたことなく、それほど強くないけど魔法を使わないと倒せないモンスターがいると…。
「なるほど、だからクイーン達は戦わないのか。」
「それでな、俺達でも倒せないことはないんだが、正直魔法が使えるやつが欲しいんだ。いつもだったら一人はメンバーにいるんだが今日はお前と同じ当番だろ?だから俺らの誰かと当番を交換してくれないか?」
なるほど。確かに魔力剣なら簡単に倒せるが、近づかなければ倒せない。
魔法なら離れた所でも倒せる。
この差は大きい。まぁ、交代するのはもう一人の冒険者でも良かったんだろうけど、朝方はスケルトンやゴーストが出なくなるから魔力の回復力を考えてだろう。
その後問題なくモンスターは倒したが、その数がかなり多く結局交代時間を過ぎても手伝うことになってしまった。
そんなこともあり、あんまり休めなかったのだ。
ちなみにおじいさん達のグループは始めのうちは妹ちゃんやサクヤちゃんが活躍したが途中で眠くなり、ほとんどをおじいさんが倒したそうだ。
初めての森での野営は疲れたが今度はゴブリン退治だ。
なんだかんだと今日で一周年。
もう少し頑張って書きたいな。
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