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木材の加工は思った以上に順調に進んだ。
というのも、元々皆で薪割りしたり、食器作りしたりしていたので、それなりの木工スキルを皆が持っていたからだ。
「シュウ、最初は何から作るんだ?やっぱり家からか?」
「家は最後かな~、最初は厩舎で次に塀を作りたいかな。」
それなりの材料が出来上がった頃、クルス君から質問された。
クルス君達は早く家を建てたいみたいだけど、家を建てるには木材を運ばなくてはいけなくて、それには馬車が必要になる。
また、木材を運んだ後は土地に置きっぱなしにすると盗まれる可能性もあるため、防犯の意味も込めて俺達も交代で泊まらなければならないが、俺達はテントがあるが、従魔達には無いから早めに作ってあげたい。
それと、防犯と目隠しの為に塀も早めに作りたいものだ。
クルス君達にもその説明をした。
「そっかぁ…、じゃあ家が出来るのはまだまだ先になるな。」
「そうだね。まぁ、厩舎なんかは家を建てる練習だと思って頑張ってよ。」
「おう、坊主達、いつの間に馬車を手に入れたんだ!?」
ある程度の木材が揃ったので今日は狼車、馬車を使っての輸送をおこなっていた。
朝からおじいさんの所で荷台に木材を積み、町に帰ってきたところだ。
そして、なぜかいつもいる門番の兵士からの言葉が今の台詞だ。
「馬車としては最近かな?」
「そうか、よく見りゃ馬がモンスターか?ってことは、もしかしてこのモンスター坊主の従魔か?」
「ま、まぁ、そうなるね。」
「お前、いったい何匹従魔がいるんだ?」
「シュウの従魔はたくさんいるぜ!孤児院の皆が世話を手伝ってくれなきゃダメな位にな!」
なぜかクルス君が自慢気だ。
「そ、そうか…。機会があったら見せてもらいたいな。それで、馬車の積み荷は木材のようだが何に使うんだ?今なら高く売れるからな、ギルドに売るのか?」
「売りませんよ。孤児院の冒険者が増えたんで土地を買って家を建てるんですよ。これはその材料です。」
「あぁ、クランホームを作るのか。…自分達で作るつもりなのか?」
「当たり前じゃん!だっておれらそんなに金無ーし。」
「ちゃんとした家を建てるのは大変だぞ?大丈夫なのか?」
「そこまでしっかりした家は無理だけど、小屋は作ったことがあるから寝泊まり出来る家は作れると思うよ。」
「そうか、まぁ、気を付けて作れよ。じゃあ通って良いぞ。他の連中にも坊主達の事は伝えておくからいつも通りに通ってくれ。」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
俺達は無事に門を通り抜け、ホームの土地へと向かった。
狼車、馬車を止め積み荷の木材をおろしているとクルス君がこんなことを聞いてきた。
「なぁ、シュウのアイテムボックスで運べば簡単じゃないか?」
「簡単だけど、さすがに全部アイテムボックスで運ぶのはまずいかな。ある程度の木材を運んだらこっそり混ぜるつもりではいるけどね。」
「あー、アイテムボックスがバレるのはまずいか。だったら、さっさと塀を作って隠しちゃえばいいじゃねーか!」
「そうだね、確実じゃないけどアイテムボックスを使いやすくはなるね。」
そんな話をしながら積み荷を降ろし終え、その日は三回ほど木材を運び込んだ。
「じゃあ今日は俺達がここに泊まるな。」
運んだ木材が盗まれないように監視する為に冒険者組から四人が空地で泊まることになった。
普段のテントではなく、中が広いテントなのでそれほど辛くはないと思いたい。監視も従魔達(ステップホース、クイーン)が泊まってくれるので戦力的にも安心だ。
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