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「初めての護衛依頼はどうだったの?」
「あ~、まぁ、問題は無かったかな。」
「そうだな、無事にランクアップも出来たしな。」
「じゃあ野営の練習の成果は出たんだな!?」
「出たのか?」
「どうだろう?」
皆で練習した時から日を空けてから二度ほど野営の練習をし、冒険者三人は初の護衛依頼を受けることになった。
「そもそも今回の依頼は俺達が想像してたのとは違ったからなぁ…」
「あぁ、依頼を受けたのも俺達だけじゃなかったしな。」
なんでもギルドで簡単そう、というか三人でも受けられそうな護衛依頼を受けようとしたら、受付のお姉さんに止められたらしい。そして、護衛対象の規模が大きく、護衛する冒険者の人数が多い依頼を勧められたらしい。
「当たり前な話、護衛経験の無い冒険者だけなんか守られる方も困るよな。」
「護衛を失敗したらギルドの責任にもなるしな。」
「それは…そうだね。」
「じゃあ受付のねーちゃんの依頼は良い依頼なのか?」
クルス君が疑問を浮かべた。
「そりゃあ、冒険者含めて人が多ければ襲われる可能性も減るし、先輩冒険者から色々教えてもらえるし、初心者にはもってこいの依頼だな。」
それに加えて、どうやら受付のお姉さんは俺達孤児院の人間に対して偏見等持たない人達を集めてくれたようだ。
これが最近増えたガラの悪い冒険者ばかりだったら最悪だっただろう。
「依頼内容は隣街までの往復護衛で一週間、向こうでの滞在を含めて約二週間。モンスターも盗賊も出ず良かったよ。」
「野営の練習もそのままって訳じゃないけどやってて良かったよ。」
なんでも時期によっても違うが今回はテントは使わずに野営をしたらしい。
薪等はある程度は馬車に積んであり、水に関しては護衛対象の商人達や先輩冒険者が魔道具を持っていたらしく、魔道具を動かす為の魔核を用意するだけで済んだらしい。
食事も出たらしく、何かあったときのための保存食以外食料を用意する必要もなく、想像していた野営に比べると楽だったそうだ。
「ただ、依頼としては成功だったんだけど、モンスターや盗賊との対処の仕方がわからないままなのはちょっと残念だな。」
「今までの野営の練習の延長って感じだったな。」
「じゃあ、私達が冒険者になっても護衛依頼は出来そうね。」
「そうだな、戦闘はわからないけど今回みたいのなら大丈夫だろ。」
「一応これからも何度か護衛はしてみようと思うけどな。」
やはり護衛依頼として守りながらの戦いを経験してみたいようだ。確かにそんな経験が無いので合同で依頼を受けられて先輩冒険者に教えてもらえるのは、ランクが低い今のうちにしか経験出来ないだろう。
それに森で練習しようにもそもそも護衛は森に行くことはほとんど無いから練習出来ないのだ。
「ランクアップもちょうど良いし今のうちに色々な依頼に挑戦してみようかな。」
「そうだな、俺達が経験しておけばお前らが冒険者になった時に色々教えてやれるしな。」
「それはありがたいけど向き不向きもあるから無理しないでね。」
ということで冒険者組三人は今後の為に様々な依頼をこなすことになった。




