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「「「「ただいま~」」」」
「サクヤ~、おじいちゃんが帰ってきたぞ~」
「「おかえり~」」
「おかえり…。」
「あらあら、お帰りなさい。」
帰ってきた皆とあいさつをし、お昼がまだだと言うのでみんなの分も作ることになった。
「そうだ、お土産もあるんだ!師匠!あれ出してくれ!」
「あれか。………ほれ!」
クルス君に言われ、おじいさんは肉の塊を魔法で取り出した。
今までもモンスターの肉は食べていたがこれだけ大きな肉の塊はあまり見たことがない。
だが、俺にはなんとなく見たことがある肉の塊だった。
「これ、もしかして牛の肉?」
「わかんのか!?もしかしてシュウ食べたことあんのか?」
「食べたことなんてないよ。前に見たことがあるだけだよ。それで、これはどうしたの?」
「これは俺達で狩ったモンスターたぜ!」
どうやら向こうの村周辺で狩っていたモンスターは牛のモンスターだったらしい。
なるほど、確かにこれなら村の人達も小麦との交換に喜んでたわけだ。美味そうな肉だもんな。
「じゃあこのお肉もお昼に食べよう!………で、後ろのは何?」
「何ってシュウへのお土産だよ。」
「いや、お土産はお肉でしょ?」
「あれも土産じゃ!前に馬も飼うと言ったじゃろ?」
「言ってましたけど、まさか本気だったとは…。そもそも馬車を使うことなんかまだ無いし、そもそも馬車も無いんですよ?」
「無いなら作ればいいじゃろう。狼達で一度作っておるんじゃ、そんなに難しくもあるまい。それに、今のうちから馬車の操作に慣れておくのも良かろう。」
「はぁ…、まぁもう連れてきちゃってるんならしょうがないか…。じゃあ従魔にできるか挑戦してみますね。」
俺はおそらく魔法で眠らされてる馬のモンスターに近付いた。目立った傷も無さそうなので元々無傷なのか、それとも魔法で治したのかはわからないが、弱ってないので従魔にするのは難しいかもしれない。
「とりあえずやってみるか。」
馬のモンスターに魔力を流してみると、少し流し辛いが魔核に魔力が流れるのを感じることができた。そして、しばらくすると無事に従魔にすることができた。
「よし!成功だ!じゃあ次だ。」
そう、おじいさん達が連れてきた馬のモンスターは二匹いたのだ。馬車は大抵一頭か二頭引きなのでわざわざ二頭捕まえたらしい。
同じように魔力を流し、無事に二頭とも従魔にできた。
色々な修行の成果か、魔力は効率良く流せるようになっていたのか、なかなかの魔力を使ったようで少し怠くなった。
「おにいちゃ~ん、ごはんできたよ~」
妹ちゃんとサクヤちゃんがお昼ごはんに呼びに来てくれた。
「今行くよ~。」
「おうまさんだ~!」
「おっきい…。」
二人は新しく従魔になった二頭を見てビックリしていた。
「新しく従魔になった子達だよ。まだ寝てるから起きたらあいさつしようね。」
「あい!」「うん。」
俺達三人は馬をその場に残しご飯を食べに行った。
「美味い!」
「おいし~!」
「ワフッ♪」
テント近くに作ったかまどでお土産の牛肉を焼いたのだが、美味しい!日本の肉と違い赤身の肉だが、固すぎずジューシーだった。
俺達だけでなく従魔達にも満足のいく味だったようだ。
食事を終えた俺はおじいさんから牛肉と牛のモンスター、ファイティングブルの素材、角と皮をもらった。皮は鞄に良さそうなので、後で女性陣に頼んでみよう。
数は10頭分以上あるのでクルス君達はなかなか大変だったんだろう。
その後はおじいさんに馬を起こしてもらい、あいさつを済ませた。
本当は馬用の厩舎を作りたかったが、時間もないのでしばらくの間牛、ミルホーンと一緒に暮らしてもらうことになった。
とりあえず今しなければならないことは無くなったので、俺達は孤児院へ帰ることにした。




