12
俺達は果物のなっている木がある所への目印を探した。
目印を見つけ、森に入ったところ妹ちゃんがいきなり四つん這いになってクンクンし始めた。
「ちょ、何してるの!?」
「おくすりさがしてるの」
「おくすり???」
「おみせでにおいおぼえたの!!」
「匂い?」
「においおぼえておくすりみつければおにいちゃんといっしょにいられるの!!」
ん~と、つまり、薬屋、錬金術師の店で素材の匂いを覚えて採取についてくる。って事かな?
そういえば、鑑定使ってステータスみたら『嗅覚上昇』ってのがあったな。
でも、猫って鼻良かったっけ???
「素材はもう少し奥に行かないとないよ」
そう言って妹ちゃんを立たせた。
そして、手を繋いで奥へ歩いて行く。適度に枯木、薬草を拾いながら実のなる木を目指した。
妹ちゃんはつねにクンクンしていた。
果物の木に到着したら、妹ちゃんは目をキラキラさせていた。俺の手を離すと一目散に木に登り果物をもいでいた。
俺は笑いながら木に近付き
「お~い、取ったらこっちに投げて」
と叫んだ。妹ちゃんは頷いて一個ずつ投げ出した。俺はそれを受け取り背負子にしまった。
ある程度貯まったので次に行こうとしたら、妹ちゃんが木から降りられないと言い出し、俺が木に登りおんぶして降りた。猫そっくりな行動だ(笑)
同じ様に次の木に向かった。
妹ちゃんは木に着くと、今度は木に向かわなかったが、木から少し離れた所にかけていってしまった。
慌てて追いかけると近くの木の下にしゃがんでいた。
「どうしたの?」
「キノコ!!」
どうやらキノコの匂いを辿ったらしい。確かにそれは錬金術師の店で見たキノコだった。
俺は妹ちゃんの頭を撫でながら
「偉いね~。でも、さっきもそうだけど、急に走っちゃ駄目だよ」
と言った。
妹ちゃんは
「あい!!」
と嬉しそうに返事をした。頭を撫でられるのが嬉しくて、注意は聞いてなさそうだ…。
その後、同じ様に採取をし四ヶ所目の木に着いたときに変化があった。
魔力探知に反応があったのだ。
反応は4つ。まとまっているから集団だろう。
俺は妹ちゃんの手を取り急いで隠れた。位置的に見つからないだろうが、油断は禁物。気配を出来るだけ小さくし、妹ちゃんに魔力を流し魔力の放出を出来るだけ少なくした。
匂いなどはしょうがないが、相手はおそらく人間、冒険者だろうからよっぽどの事がなければ気付かれないだろう。
じっとしていると、左奥から人が見えてきた。
剣と皮鎧の男、剣と盾と金属鎧の男、弓を持つ女、槍と皮鎧の女の計四人。予想通り冒険者だろう。
「くそっ、どこ行きやがった!!」
「私の矢はちゃんと刺さったから倒してるはずよ!!」
「倒しても、見失ったらしょうがねぇだろ!!」
冒険者達はそんな事を言い、何かを探しながら乱暴に歩いていった。
おそらく獲物を仕留めたのに死体を見失ったのだろう。
よっぽど遠くで仕留めたのか、冒険者が未熟なのか…。初心者向けの場所だから後者かな?
とりあえず冒険者達が離れていったので俺達は隠れるのをやめ、木の下に出てきた。
少し緊張していたので休憩することにした。
妹ちゃんと果物を食べ水を飲んでいると、微かに何かが聞こえてきた。
「ピュィーー…」
俺達は顔を見合せ鳴き声のした方に向かった。魔力探知を使うと確かに小さいが魔力の反応があった。
魔力に近付き木の影から覗いてみると、そこには翼に矢が刺さっている鳥がいた。