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孤児院の二人が冒険者(仮)になってから一ヶ月程がたったある日
「依頼お疲れ様でした。」
「「ありがとうございます!」」
二人は依頼を終え、ギルドで終了報告をしていた。
「えっと、これで大丈夫かな…?………うん、大丈夫。お二人とも、順調に依頼をこなされたのでランクアップ試験を受けることが出来ますがいかがなさいますか?」
「「受けます!!」」
二人は声を揃えランクアップ試験を受けることになった。
「おはよう!」
「シュウいるか~?」
採取へ行く朝、冒険者(仮)の二人が来たと思ったら俺を呼ぶ声が聞こえた。
「おはよう、二人とも。どうしたの?」
「聞いてくれよ!」
「ついに俺達ランクアップ試験受けられるようになったんだよ!」
「ほんとに!?おめでとう!」
「詳しい事は後で話すけどとりあえず伝えとこうと思ってな。」
「わかったよ。じゃあ先に朝ごはん食べちゃおう。」
俺達は子供達からのおめでとうの声を聞きながら食堂へ向かった。
朝ごはんを食べ終え竜の森へ行く道すがらさっそくランクアップ試験について話をした。
「それでアニキ、試験って何やるんだ?」
「まずは戦闘試験だな。低ランクだけどモンスターのホーンラビットやゴブリンなんかと戦えるかどうか調べるらしい。」
「それはどうやってするの?まさかモンスターと戦うわけじゃないんでしょ?」
「なんでも元冒険者のギルド職員の人と戦うらしいよ。もちろん勝てるわけないから相応の実力があれば合格らしいけどね。」
「ならアニキ達なら問題無いだろ、もうホーンラビットもゴブリンも倒せるしな!」
確かに二人はすでに一対一で倒せるレベルにいる。初めは従魔や俺達の補助が必要だったが、慣れと10レベルの恩恵でなんとかなっている。
「そうだな、ゴブリンはあんまり戦ってないけどホーンラビットなら問題ないから、落ち着いてやれば平気だろうな。」
「だな。後は文字の試験があるらしいぞ。」
「文字の試験?」
「あぁ、単純な数字の読み書きと自分の名前の読み書きだな。後は簡単な単語を読めるからしい。」
「そんなのが冒険者に必要なのか?」
「あぁ、クルスは依頼がどんなのかしらないのか。」
「まず、数字が読めないと報酬がわからないだろ?」
「あぁ。」
「それに、簡単な単語、例えば『薬草』とか『採取』『ホーンラビット』なんかだな、それが読めないと依頼内容がわからない。」
「なるほど。」
「後は名前だけど、依頼終了でサインが必要になったりするからな。だから簡単な文字は10級で覚えろって事なんだよ。」
「なるほどなぁ~、でも、俺達って院長先生に習って数字も文字も問題ないよな?」
「あぁ、問題ないな。むしろ院長先生とお前達のおかげで試験自体問題無さそうだな。」
「確かに試験を難しく思えないな。」
そう言うと二人は笑いだした。
「そういえば試験はいつやるの?」
「今度の休みにやる予定だよ」
「他の人は勉強や訓練でそれなりの期間空けるらしいけどな」
「そうなんだ、頑張ってね!」
「がんばるの!」
「あぁ。」
「ありがとな。」
「それにしてもランクアップ試験までずいぶん早かったね。」
「そういえば受付のお姉さんにも同じこと言われたな。」
「普通は数ヶ月かかるって言ってたな。」
「そんなにかかるんだ?」
「らしいぞ。普通はその数ヶ月の町中の依頼で筋肉や体力をつけたり、町中の事を覚えたりするみたいだな。」
「うん、普段から俺達がやってることだな。」
「だね」
「なら私達がやってたことは間違ってなかったって事でしょ?良かったじゃない。」
「そりゃそうだ。」
「なら、とりあえず試験に受からないとな。」
そんな話をしながらも俺達は森へたどり着き今日の仕事を始めるのだった。




