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今日はおじいさん達の小屋へ行く日である。
おじいさんの所へ向かいながら冒険者(仮)の二人の事を考える。
今日は採取に行かないので町中の依頼を受けることになっていた。
初めてであるし、良い依頼が無くなるかも知れないからと早めに宿を出たはずである。
小屋に到着するとさっそく作業を開始した。
妹ちゃん達は薬やポーション作り。まだ必要ないかもだが、冒険者には必需品だからな、今度俺も挑戦したいな。
クルス君はおじいさんと従魔達と狩りへ出掛けた。ゴブリンがまた増えてきたらしい。おじいさんが調整しているらしいがたまにいきなり増えるらしい。
俺はというと今日は木工だ。冒険者(仮)の宿に家具が無かったのでそれを作るつもりだ。
まずは蓋付きの箱だ。さすがに棚やタンスは大きすぎるし、置くスペースもない。ので、重ねられる木箱にした。材料は色々残っているので問題なく作れるだろう。
その後一時間程で木箱を作った。予備を含めて五つほど。持ち運び出来るように大きくは作らなかったので、もしかしたら全部使うかもしれないな。
お昼を食べ終えた俺達は続けてゴブリン退治に参加した。相手がゴブリンということで普段戦わない従魔達も参加することになった。
レインボーキャタピラーやシルクスパイダーは糸を出す毎に経験値が入るらしいが、モンスターを倒した方が効率が良いはず。
また、ビッグコッコやミルホーンもレベルが上がれば良い卵や乳が出るかもしれない。
結果としてレベルアップは上手くいった。すでに俺達や戦闘従魔はゴブリンではレベルが上がりづらかったので、出来るだけダメージを与えないようにゴブリンを捕らえ、非戦闘従魔だけで倒させたのだ。おかげで3~5レベル上がった。
次の日は採取の日。
朝ごはんの前に二人はやって来た。
「「おはよう!」」
「おはよう~」
「おはよう!」
「兄ちゃんおはよう!」
孤児院の子達は次々に挨拶を返していく。
皆で朝ごはんを食べ、さっそく出発した。
町を出て歩いているときに昨日の様子を聞いてみようとした。
「アニキ達、昨日の依頼はどうだったんだ!?」
俺が聞く前にクルス君が興奮ぎみに聞きはじめた。
「あ~、初めてだから緊張したが、やれないことはなかったな。」
「そうだな、昨日は町の掃除に商店の荷物運びをやったけど、特に難しくはなかったな。」
「そっか、普段やってたことだもんね。」
「あぁ、それに昨日は二人で一緒に受けたからな。慣れれば別々に依頼を受けても良いかもしれないな。」
「だな。でも、町中の依頼は数が限られてるから早く行かなきゃ無くなっちゃうんだよな~」
「そうそう、昨日は早めにギルドに行って良かったぜ。もう少し遅かったら無くなってたからな。」
「そうなんだ?じゃあ朝ごはんはどうしたの?」
「依頼を受けてから屋台で食べたよ。昼は宿で作ってもらってた弁当で、夜も宿だな。」
「正直シャル姉の料理のが美味いけど、量と値段を考えたら中々だったな。」
「屋台はどうだったんだ!?」
「屋台かぁ~。まだ一軒しか行ってないからなんとも言えないな。これから色々食べ比べるよ。」
「食べ比べるには稼がなきゃいけないけどな。」
「じゃあ今日も採取頑張らないとね!」
「がんばるの!」
俺達は二人の為にも採取を頑張ろうと森へと向かった。
そして、今日も依頼としては十分な量の採取とファングボアを含めた数匹のモンスターを討伐し、無事に孤児院へ帰ることができた。




