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「さて、これでとりあえずは安心だな。」


「あぁ、やっと冒険者になったな。」


「二人ともおめでとう。」


「ありがとな。」


「まぁまだ仮だけどな。」


「じゃあ早く冒険者になれるように依頼も確認しておこう?」


「そうだな、どんなのがあるか見ておこう。」


そうして俺達三人は10級の依頼が書かれている場所までやって来た。


10級の依頼としては竜の森での採取、町中の買い物や掃除、荷物運び等数種類しかなかった。

また、依頼表も簡単な内容と報酬しか書かれていなかった。

おそらく文字が読めない冒険者への対策だろう。最低限これくらいは読め!と。


報酬的に採取、もしくは町中の依頼にしても一日二~三個こなせば安宿代位はなんとか稼げそうだ。

二人も孤児院を出る身なのでこれからは宿暮らしになる。本来は宿探しも大変だろうが、そこは院長先生が知り合いの伝で安宿二人部屋をすでに見つけてあった。


依頼の確認を終えた俺達は、二人の宿に向かう。護衛にクイーンと子狼が一緒についてきていた。宿に向かう途中、衣類や水筒等の冒険用雑貨等を買った。

お金は今まで貯めていた中から出した。

宿代も一週間分は出すつもりだ。

二人は申し訳なさそうにしていたが、二人が冒険者になって9級になってくれれば、アイテムボックスにあるホーンラビットやファングボアの素材や討伐証明部位が処分出来、むしろ良いこと尽くめだと話したら納得してくれた。


買い物を終えた俺達は宿へとたどり着いた。

見た目はそんなにボロくない、というか普通の宿兼食堂だ。ただ、立地的に町の入り口やギルドがある中心地から離れているから値段が安いのだろう。ただ、孤児院からはそう遠くないので便利かもしれない。


「いらっしゃい」


中に入ると宿の受付であろう場所にいる40歳位の女性が声をかけてきた。


「あぁ、もしかして孤児院の子達かい?」


「はい、そうです。」


「話は聞いてるよ。二人で一部屋で良いんだよね?料金は前払いになるけど平気かい?」


「はい、大丈夫です。えっと、とりあえず一週間分お願いします。」


「あいよ。それで、食事はどうする?宿代と一緒だと少し安くなるけど。」


「あ~、孤児院で食べる事もあるので宿代だけで。」


「なるほどね。了解。じゃあこれが部屋の鍵だよ」


俺は一週間分の宿代を払い、部屋の鍵を貰った。それを二人に渡し一緒に部屋へと向かった。


二階にはいくつも部屋があり二人の部屋は真ん中辺りだった。鍵を開けて部屋に入ると中には簡素なベッドが二つと小さなテーブルが一つあるだけの部屋だった。部屋もそれほど広くはないが、孤児院で生活していた二人にとっては十分な広さだった。


「今日からここで生活かぁ。」


「思ったよりいい部屋だな。」


「さすが院長先生の紹介だけはあるね!」


そんな話をしながら二人は買ってきた荷物を、俺は孤児院から持ってきた荷物をアイテムボックスから出し部屋の隅に置いた。


「荷物置くのに何か欲しいな」


「棚…は無理だろうから木箱か?」


「そうだね。今度の休みに作ろうか。」


「あぁ、手伝ってくれるとありがたいな。」


「初めての冒険者だからね。色々様子見てやってこう。」




二人はその後孤児院で晩御飯を食べた。その為あまり孤児院を出た気はしないが二人は明日から冒険者としての生活が始まるので緊張しながら帰っていった。

夜も遅いのでクイーンを護衛として一緒に宿へ向かわせた。進化したクイーンは隠密行動もお手のものなので、任せて大丈夫だろう。





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