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孤児院に戻る途中、防具屋に寄り鉄の盾を購入した。
これも鍛冶の練習をするために基本的な作りの物で安めの物を購入した。
採取の時やおじいさん達との狩りで戦うモンスターにはまだ皮の盾で事足りるが将来的には必要になるはずだ。
防具屋には鉄の鎧もあったが、手や足の防具ならまだしも鎧は俺達には重いし、作ろうと思ってもそこまでの鍛冶レベルには至っていないので、まだ買えないでいた。
孤児院に帰るとまずは買ってきた剣を二人に渡し、木材を渡して鞘を作ってもらう。
前回クルス君の鞘の時作り方を確認しているからなんとなくでも作り方はわかるだろう。
もちろん失敗しても大丈夫だと伝えてある。何事も経験だ。
その後は調理場に行きシャルちゃんと新しい料理を作る。
唐揚げは人気があったから今回も上手くいくと思いたい。
俺はパンをボロボロと砕き始める。
シャルちゃんはボアの肉とオークの肉を切り分け、塩コショウ、香辛料もまぶし、小麦粉をつけ、卵にくぐらせ、俺が作ったパン粉をまぶす。
これをシャルちゃんに揚げてもらえばトンカツの完成だ。
相変わらず作り方を教えてシャルちゃんに丸投げした俺は鞘作りをしている二人の元へ向かった。
二人は大まかな形は作れていたが細かいところはまだ出来なかったようで、俺と一緒に作っていった。
ちなみにクルス君はおじいさんと今日買ってきた武器を色々と試していた。
孤児院では他の子供達もいて危ないのだが、普段使わない武器が珍しくクルス君は楽しそうだ。
まあ、クルス君の戦闘タイプだと、あまり使わない武器だからしょうがないかな。
子供達は離れた所でクルス君達二人を眺めていた。
夕食の時間になり皆が食堂に集まっていた。
いつの間にか帰っていたおばあさん達がシャルちゃんを手伝ってトンカツを揚げていたので、予定より早く作り終えていた。
本当は揚げたてを食べたかったが、さすがに50人前近く作ると冷めてしまうし、ご飯も無いのでカツサンドを作った。
固めのパンを半分に切りトンカツを挟めば完成だ。
さすがにカツサンドを子供達が一つ食べればお腹いっぱいになるだろう。しかし、ボアの肉とオークの肉を使ってトンカツを作ったので、どちらかだけというのは可哀想だ。だから、俺はカツサンドを半分に切り二種類食べられるように半分ずつ配った。
院長先生のあいさつで一斉に食べ始める。
この世界にも肉を挟んだパンはいくつかあるが、カツサンドはなかなかのボリュームのため、皆口いっぱいに頬張っていた。
おじいさんもトンカツ、カツサンドを気に入ったようでパクパク食べている。ちなみにおじいさん用は半分に切らずに一つずつ渡してある。
年長組の男の子達は食べ終わるとおかわりを食べ始めた。おかわりはしやすいように四分の一に切ったので下の子達もおかわりをし始めた。
味の違う二種類を出したが、どちらも人気のようで安心した。
次の日、俺達は小屋へ行く準備をしていた。
狼車に小麦粉とお酒を積み込む。昨日は酒屋から大量の酒が届いていたので、当分小屋へ行くときは酒を積んでいかなくてはいけないな。
サクヤちゃんがパンケーキを気に入ったのでふるいもおじいさんに渡してある。
うちでは卵とミルクを買う機会が少ないので問題ない。まぁ子供達は残念がるだろうが…。
積み込みも終わりサクヤちゃんは子供達と別れのあいさつをしていた。まだ孤児院へ来たのは三回目だが、友達が増えたようでなによりだ。
おじいさんもおばあさんもなんだか嬉しそうで良かった。
また来月来るのを楽しみに俺はおじいさん達を送っていった。




