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初投稿
「あれっ、ここは…?」
目覚めると、果てしなく真っ白な空間に一人立っていた。
キョロキョロとまわりを見ていると後ろから
「やぁ」
と、声をかけられた。
声をかけてきたのは、10歳くらいの男の子だった。
「君は誰だい?というか、ここはいったい…。」
「ここかい?ここは現世とあの世をつなぐ場所みたいな所かな。」
あの世…?
「って事は、俺は死んだのか!?」
「そうだよ!享年101歳の大往生」
101歳!? なら、俺は寿命で死んだのか?だが、死んだ記憶も無いし、なぜ、こんな所にいるんだ?
本当は生きてるんじゃないのか…?
そもそも、この子はいったい誰なんだ???
「あはは、混乱させちゃったみたいだね。まずは自己紹介をしようかな。僕は君たちの言うところの神様ってやつだ。そして、君は今魂と呼ばれる存在だよ」
「神様?魂!?」
「自分の身体を見てごらん?101歳って言ったのに若いと思わなかったかい?」
そう言われ、自分の身体をみても、おじいちゃんには見えず、二十歳くらいの若々しい身体をしていた。
「さすがに死んだ時の身体を呼んだら話も出来ないからね~」
ふむ、確かに101歳の身体では会話もままならないし、老衰なら死んだ記憶も無いのもうなずける。
「しかし、なぜ俺はここに?」
「うん、君に頼みたいことがあってね」
「頼み事?」
「実は君に異世界に行ってもらいたいんだよ」
「異世界???」
「そう、異世界!!そういうの好きでしょ?」
そう言われてみると、確かに昔から小説漫画アニメは好きだった。いわゆるオタクというやつだった。しかし、ほんとに異世界なんてあるのか?
「現世の人間は気付いてないけど、昔から異世界転移や異世界転生ってのは、稀にあったんだよ」
なんと、そんなマンガみたいな事が実在したとは…
「まぁ、異世界に変な影響を与えちゃ不味いから異世界に送る人は選別してるんだけどね」
「じゃあ、今回は俺が選ばれたと?」
「その通り!!君は一生を平和に過ごしたからね。ボーナスステージだとでも思ってよ」
ボーナスステージねぇ…
「別に絶対ってわけじゃないから断っても平気だよ?」
う~ん、特に断る理由も無いかなぁ
「じゃあ、異世界行ってみたいな」
「ほんとに?良かったぁ~。ちなみに行ってもらう異世界はよくある剣と魔法の世界だよ」
まぁ、想定内かな
「それで、異世界で何をすれば?」
「特になにも。普通に暮らしてくれればそれでいいよ」
何もしなくていいのか?
「そもそも君一人が行って何か変わるでもないし、何か変えたいなら専門家を送った方が早いからね」
そりゃそうだ
「だから、君は第二の人生を楽しんでよ!!」
「んで、早速異世界に行くのか?」
「いやいや、さすがにすぐには行かせないよ。少しは向こうの説明しないとね」
「えっ?何かあるのか!?」
「今までの世界とはまったく違うからね。魔法があって、モンスターがいて、科学の代わりに錬金術がある。まさに王道の世界だね」
うん、まさにありきたりな異世界転生だ
「そこで君は孤児院に孤児として転生してもらうよ。転生と言っても身体は僕が作るんだけどね」
「そういうのは、誰かの子供として産まれるんじゃないのか?」
「そんなことしたら、元々産まれる予定の子が死んじゃうじゃん!!」
あぁ、そりゃそうか
「で、わざわざ異世界に行ってもらうから、少しボーナスあげるね」
「ボーナス?」
「異世界言語の翻訳だよ。さすがに新しい言語を1から覚えるのは大変だからね。あっ、文字も書けるようにしておくね」
「確かにそれは助かるな」
「後はアイテムボックスだね」
「定番だな」
「アイテムボックスは持ってる人少ないから色々気を付けてね」
「分かった」
「最後に鑑定だね」
「三種の神器の揃い踏みだな」
「他になにか必要なのあるかな?余り変なのじゃなければあげるけど?」
「それなら、やっぱり魔法を使いたいな」
「なんの魔法が良い?」
「どんな魔法があるんだ?」
「色々あるよ。基本属性の火水風地に光闇、時空や錬金、鍛冶に生活と、選び放題!!」
「多いな…。こういうのって適性とか必要なのか?」
「基本はそうだね。異世界の人間はたいてい1つか2つの属性持ちだね」
「じゃあ、俺もそれくらいにした方が良いか?」
「う~ん、別に何個でも良いけど…。そうだ、なら魔力操作系をあげようか?それなら、たいていの魔法は使えるようになるよ!!」
「そうなのか?」
「向こうの人間は使いたい属性の呪文を覚えて練習し、適性を獲るんだけど、それは魔法のイメージが乏しいから、そういう風にするんだよ。でも、君はこっちの世界のマンガなんかで色んなイメージを持ってるから、好きなのを覚えられるはずだよ」
固定観念みたいなもんかな?だったら魔力操作で色々魔法を作ってみるかな
「じゃあ、魔力操作でよろしく」
「了解!!他にはあるかな?」
他かぁ…。あっ、モンスターがいるなら
「モンスターテイムって出来るかな?」
「テイムかい?色々方法はあるよ。小さい時から育てたり、知能の高いのには契約魔法使ったり、後は隷属魔法で縛ったりとかね」
なるほど、なら魔法が使えればなんとかなるかな
「でも、モンスターテイムするなら気を付けた方が良いよ?テイマーなんてほとんどいないんだから」
そうなのか?物語だとけっこういると思うんだが
「考えてもみなよ、殺し合いをしてる相手をわざわざ飼う人間はいないでしょ」
むう、正論だ…。
「だから、モンスターテイムは気を付けないと他の人達に変に思われるかもしれないよ」
「分かった、気を付けるよ」
「とりあえずはこんなところかな」
えっと、貰ったスキルは『異世界言語』『アイテムボックス』『鑑定』『魔力操作』の4つか。チートには遠いけどノーマルプレイにしては贅沢だな。
「ん?鑑定ってスキルがあるなら異世界言語って見られたらまずいんじゃないか?」
「いけね、忘れてた。君には隠蔽も渡しておくよ。赤ちゃんがこんなにスキル持ってたらおかしいからね。持ってるスキルは隠しておくよ」
「それじゃあ、これから異世界に転生してもらうね」
「わかった」
「赤ちゃんの状態で孤児院に拾われるから、最初のほうは大変だろうけど、そこは我慢してね」
「特に何かをする必要もないんだろう?」
「うん、異世界ライフを満喫してよ」
「あぁ、楽しませてもらうよ」
「それじゃあ、いってらっしゃい!!」
そうして俺は白い光に包まれて異世界に転生したのであった。
皆様のおかげで本作【孤児院テイマー】が
【HJネット小説大賞2018】を受賞いたしました。
それにともない2019年書籍化決定いたしました。
2019年5月24日金曜日
「孤児院テイマー」
HJノベルス様より発売決定いたしました。
皆様宜しくお願いいたします。