第二話 借金女王ルシアーノ
借りたら返す大事なことです。
衛とルシアーナが握手を交わしていると外からドタドタと複数人の足跡が聞こえてきた。
「や、やば。もうそんな時間!?
マモル私はベッドの下に隠れるけど今から来る奴等に場所を教えちゃ駄目よ!」
そう言って高速でベッドの下に隠れるルシアーノ。
美少女がまるでゴキブリである。
「来る奴等って?」
「い・い・か・ら!ぜーーーったいに言っちゃ駄目だからね!」
そう彼女が言い終わると。
「ゴラァ!ルシアーノ!返済期限はとっくに過ぎてんだぞ!!」
そう言って厳つい男が中に入ってきた。
刈り上げた髪に傷だらけの顔。
眼光は鋭く危険なオーラを放っている。
彼の後ろにはまるで犬が直立したかのような人(?)が2体たたずんでいる。
衛はとりあえず彼のことを親分と呼ぶことに決めた。
「ああ?なんだテメーは!ルシアーノの彼氏か?」
親分が此方に厳つい顔を向けずかずか歩いてくる。
一瞬ベッドの下でガタッっと音がしたが気付かれてはないようだ。
「い、いえ、実は昨晩行き倒れている所を助けてもらいまして。」
強面の親分にどうにか返答する衛。アルバイトで怖いおじさんとも絡むことが多かったからだろうか。
「行き倒れねぇ。兄ちゃん悪いことは言わねぇからルシアーノとは付き合わないほうがいいぜ。」
「え?でも俺を助けてくれましたし・・・」
「いいか?あいつはな、俺達からも金を借り、他のところからも漏れなく借りてる借金大王だ。
この国で奴隷が違法じゃなければ確実に奴隷になってただろうし。
今でも娼館に売られてもおかしくない状態なんだぜ?」
「そ、そうなんですか」
初耳の情報にうろたえる衛。
「とりあえずルシアーノに伝えておいて貰えるか?今月分払わなかったら本気で売り飛ばすってな。
なぁに、あいつの容姿なら変態貴族が高値で買ってくれるさ。…容姿以外も売りは有るしな。」
そうベッドの下の方に目を向けながら言う親分。
「わ、わかりました。必ず伝えておきます。」
「おう、よろしく頼むわ。金さえ払ってくれれば文句は無いからよ。
それに、一応魔導師だろあいつ。ヘタにせめると命が危ないしな」
そういいながら全然怖がって居ない。恐らく命が危ないのは下っ端なのだろう。
「じゃあな。何かあったら俺の所にでも来てくれや。
俺にビビリながらも受け答えをするその胆力気に入ったぜ。
それを見せて<裏の顔役>ベルードに合いたいって酒場ででも言えば会えるだろうさ。」
そう言って何かコインのようなものを投げ渡される。
何とか衛がキャッチすると親分たちは家から出て行った。
・・・
「ふぅ、どうやら帰ったようね。」
「えっと、今の人たちは?」
「・・・取よ。」
「え?」
俯いてるからかルシアーノの声が聞き取り難いらしく衛は聞き返す。
「・・・借金取りよ。」
「借金してるんですか?」
「仕方ないじゃない!召喚魔法には媒体が要るのお金がかかるのよ!」
悔しいのかぷるぷる震えながら声を荒げるルシアーノ
「媒体がよければ成功確率も上がるのだから・・・」
ルシアーノが言うには媒体が良いものであれば成功確率も上がり
何かしらの恩恵も得られる場合があるらしい。
「ちなみにいくら借りたんです?」
「・・・金貨100枚・・・」
「えっと、それだけ有ればどれ位の期間過ごせるのかな?」
「この国では1人が普通に暮らして2年は暮らせるかしら。」
「おおぅ」
彼女は結構な大金を借りたようだ。さらにその出費は衛の為らしい。
「・・・じゃあお金を稼がないとね。」
流石に自分の為にお金をかけたと聞いたら放っておくのも悪いと思い提案してみる衛。お人よしである。
連帯保証人で苦労しそうだ。
「そうね。彼方が居てくれるなら仕事の幅も広がるわ。」
「とはいえ、俺はこの街の働き口とかまったくわからないんだけど」
「ええ、それは安心して。なんせ彼方には一つしか選択肢が無いもの。」
胸を張るルシアーノ。そして指を1本伸ばし衛の顔の前に持ってくる。
「私達はこれから冒険者になるのよ!」
輝くような笑顔でルシアーノはそう告げた。
★★★★★
借金:金貨100枚 利子(月):金貨1枚
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
少し短めになってしまった・・・(´・ω・`)
次回更新は2/17 7:00予定
ステータスの前に借金が表示される系ヒロイン