リベライトという男
こんばんは~。
眠たいので書くことないでーす~。
俺、リベライト・アスターマンはカスジュルシナ王国の反乱を見に来たの……だが。
「加勢するか、死ぬか。選択しろ。ここはもう、法律なんざねぇ」
どうしてこうなった!
遡ると、ここに降り立った後、急に教われたのだ。
「ちぃっ! 援軍か?」
「違うっ! ただの傭兵だ」
「ほう? なら着いてこい」
そして着いていった先にいた男にあの質問を投げ掛けられたのだ。
勿論俺がコイツ程度に負けるはずないだろうし、リュウナも杖を握っているので負けることはまず無い。だがここで戦うのは、得策なのだろうか。
「……甘ったるいねぇ。なんだい。その脳ミソ。不味そうじゃないか」
「おや? これは珍しい」
「あ? ……すまんリベ俺、逃げるわ」
「あっはは~相変わらずだね。君」
……何故魔王連中がいるのだ。そしてあの女性は誰なのだ。
脳ミソがなんたらと言ったのは年季の入り、それ相応の覇気を纏う年配の女性。
そしてトゥイルニは何処かへ行ってしまった。
「けっ! 全くレディに失礼な奴だよ」
「エマ? あの方は?」
「関わらない方が良いですよ? アレも一応私達と同類ですから」
「ということは……魔王?」
「レディの素性をペラペラ喋るもんじゃないよ。全く。そうさ。私はショクキス。あんまり舐めた口きくと脳髄を食っちまうよ」
「……おや? 時を停めるとは、めずらしいですねぇ」
その言葉の通り周りは時が止まったように、いや、時が止まり雫すらも動きを停めていた。
「部分だけだけどね。さて、坊主。気張りなよ。《夜の朝食》」
その時俺の身体からなにかが弾けた。
そして指先から広がる激痛。
遠い昔このような処刑があると聞いたがまさにこのような痛みだろう。
「ふむ。だから停めたんですか」
「そこの嬢ちゃんも、唖然としてないで。《氷の夜明》さて、頑張りな。才能は目覚めさせてこそ、美味しく育つ」
「いや、食わせませんよ?」
「おや? 何をそこまで入れ込んでるんだい? 珍しいね…………
そこからもう記憶が無い。
そして目が覚めた時にはホワイト。
白。無。
謎の空間が出迎えた。
何だ、これは。
「答えてあげるよ。僕の精神世界。ねぇ俺」
「誰だっ!」
「僕は君だよ。君が封印した、ね?」
「僕なんて使ったことがないぞ俺はっ!」
「はいはい。ちょいとコレを見てもらおうか」
その黒いナニカは瞬時に後ろに出現し、僕の頭に手を当てた。
そして広がった僕の記憶。
懐かしい、恥ずかしい、悲しい、そんな感じ。
はぁ、そういうことか。
「思い出してくれた?」
「あぁ、だが、俺は俺だ。さっさとお前を殺して出るさ」
「スレイト! いい調子だね」
「はは、また懐かしい言葉を。じゃあな僕の弱い時」
「じゃあね、強くなった俺」
手元に出現した剣で凪ぎ払う。
スレイト、か。
確か母の造語で、気をつけて行ってらっしゃい、だったか?
俺の母は言葉がわからないから適当に言語を作っていたのだ。
懐かしい。
すると戻ってきた。
「おや、早いねぇ」
「クフフ、戦わないのは久しぶりに見ましたねぇ」
「ま、それほどこの子が強いってことだろ? 戦いがみたいならリュウナの方を見なよ」
「……! リュウナは!?」
「安心しな、もう終わったよ」
リュウナはゆっくりと目を開けた。
「おはよう」
「おやすみ、リベ」
あぁ、今思えば懐かしい。
懐かしいあの頃には戻りたくない。
おやすみなさ~い




