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知識チートの必需品?

「まぁ、そんなに畏まらんでも良いわい、今ならお約束のちぃととやらもつけて送り出してやるからの」


 おぉ、まじか、どうやって聞こうか迷っていたチートに関して、先に教えてくれるとはありがたい。「チートほしいんですけど」なんてこっちからは言い出しづらいしな。


「ちなみに、行く予定の異世界ってどんな世界でしょうか?」

渾身のジャンピング土下座の姿勢のまま気になっていることを尋ねてみる、行先によって欲しい能力は変わってくるからな、ここが大事なところだ。


理想的なのは剣と魔法のファンタジー世界で、そんなに文明が発達していない方がいいな、魔法とかあったら使ってみたいし。


いやまてよ、SF世界でロボに乗るのも捨てがたい…近未来でスーパーハッカーになるのも魅力的だし、むぉぉ、悩むぞー


「言っておくが、おぬしの行く先は剣と魔法の世界じゃからな?ロボとかコンピューターとかは出てこんぞ?」

 若干呆れたような目でこっちを見てくる神様。眉毛で目は見えないけど、きっとジト目になっているに違いない


「こちらの心を読むとは…さすが神様……」

「いや、おぬし途中から声に出しとったからの?」

「みすていくっ!」

「おもしろいからそのままにしておいたが、おまえさん気を付けた方がいいぞ」

「心します…」

 いかんな、この空間に来てから独り言が多くなっているようだ。


「それで、欲しい能力はなんじゃ?身体能力強化か?魔法の才能か?こちらからおぬしを送り出した分、送り先からも見返りをもらうから、気にせずドーンと言っちゃってよいぞ」


 ホレホレ、と神様が俺の肩をつついてくる、正直うざい


「等価交換ってやつっすか…ちなみに、俺の代わりにこっちに来る奴ってどんなんですかね?」

「うむ、放射性元素を分解するバクテリアじゃ」

「人じゃねえし!」


 そこから悩むこと数時間。ようやく欲しい能力を決めた。中世ファンタジーならこの能力があれば無双できるはずだ…


「決まったかの?」


 座布団に座って、お茶をすすっていた神様がこちらを向いて、尋ねてくる

 俺は、これまでの人生の中で最上級のスマイルでこう言い切った。


「はい、スマホを使えるようにしてほしいです!!」



「す、すまほかね?」


 あ、声が裏返った、そんなに意外だったのかな?


「もっとこう、わかりやすい能力とかはどうじゃ?今なら身体強化と魔力強化に、鋭敏知覚もつけるぞい?」

「いや、そういうのも考えたんですけど、そういうのって前に出て戦うとか、危険と隣り合わせじゃないと稼げないじゃないっすか、そういうの嫌なんで、知識チートしたいっす」


「なるほどのぅ、ちとまて」

 思い切り肩を落とす神様。後ろを向いてぼそぼそと何かつぶやいている。神様だって独り言するんじゃないか、全く人のことは言えないよな。


「あー、ちなみにおぬしの考えるスマホの能力を言ってみぃ」

「ネット接続・時計・地図・メモ帳・録画・録音・カメラ・ライト・電話・メールっす」

「多すぎじゃわい…まずは電話とメールは向こうに端末を持っている者がおらんから無理じゃの、時計は向こうに合わせればいいのじゃから簡単じゃな。地図はGPSがないから、自分の見たことのある範囲のみじゃ、メモ帳はOK、録画録音とカメラもまぁいいじゃろう、明かりぐらいは自分で調達せい」

 意外とあっさりOKがでる。さっき声を裏返らせてたのは何だったのかな?


「で、大問題なのがネット接続じゃな、知識系チートがしたいということは、これがメインなのじゃろうが…」

「何か問題でも?」

「ぶっちゃけ、情報とはいえ、次元間をやり取りするのはワシら次元管理者の権能なのじゃ、おぬしに地球のネットと接続できる端末を与えるということは、その権能を切り売りすることになってしまうんじゃな」


 つまり、神様の能力を使わないとネット接続ができないと?なんてこった。

 思わず頭を抱える俺、ネットがないスマホなんてただのデジカメに不完全な地図を加えただけじゃないか。


「そこを何とか、お願いしますよー、土下座でも何でもしますからー」

神様の足元に縋り付いて、お願いする。知識チートすると決めた以上、ネットの情報量は外せない。


「おぬしちょっと前に見事なジャンピング土下座きめたばかりじゃろう…ちょっと待っておれ、今交渉しとるところじゃ」

 あ、さっきからぶつぶつ言ってたのは向こうの人(?)と交渉してたのか、独り言なんて思ってすいませんでした


「さすが神様、太っ腹、頼りになるぅー、そこにしびれる憧れ…ムグムグ」

「それ以上はストップじゃ、ファンの方とかから突っ込みが入るでの」



 座布団に座って、お茶を飲む。はー、新茶はうまいねぇ…

「おぬし、くつろぎすぎじゃないか?」

 あ、神様戻ってきた。

 だって、いきなり扉が現れたかと思ったら、そこに入って行って、俺放置されてたんだから仕方ないよね。


「話をつけてきたぞい、ただし、ネット接続は無しじゃ、その代わり、今インターネット上にある情報は全部詰め込んでおいてやるぞい」

「ん?それってどういう意味ですか?」

「つまり、今ある情報は検索できる。地球で何があっても情報は更新されない。掲示板の類も無し、じゃ」

 んー、掲示板とかでほかの人の意見を集めるのは無理か…まぁ、必要な情報は自分で考えろってことだな。


「十分でございます」

 いや、一時はどうなることかと思ったけど、これで望みはかなうわけだ、ぐふふ、知識チート見せてやるぜー。

「また声にでとるぞ」

 Oh…


「というわけで、これからお前さんを向こうの世界に送る。名残惜しいかもしれんが、これからは向こうで暮らすんじゃぞ、それではな」

目の前に光の輪が現れる、これをくぐれば向こうの世界ってことだな。

「さらばー、地球y…むぎゅ」

「そういうのはやめいというたじゃろうに」


こうして俺の地球での生活は幕を閉じたのであった…

やっと地球から旅立ちました…

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