睨む
オリーヴの実はいつ食べるか
この表題を見ただけで
酒をたしなむともがらは
何を云わんかがわかるはず
ジンとヴェルモットの比率より
詩には大切な議論である
この酒にとりオリーヴは
唯一にして至高の肴
酒の名前はまだ明かさぬが
答えはあとにとっておくとして
とっておけぬのがオリーヴで
いつどのように食べるのか
少し齧ってなじませるか
食べない人もいるけれど
このカクテルにオリーヴは必須
どんな好事家にだって常識
なべて肴の究極は
対象をにらむだけというもの
ただにらみ豆腐はあっても
にらみオリーヴはきいたことない
だからマティーニにオリーヴは必須
なぞなぞの答えが出たところで
やっとオリーヴの食べどきを話せる
でももう語ったも同じ
オリーヴはマティーニの肴
肴のように食べればいい
グラスに残ったマティーニに
オリーヴのないさびしさは
いのちのはてのうすあかりに似る