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アシタバキノウの今日

作者: 火垂

小説家になりたいと幼い頃から思い続けていた。


本だって沢山読んだ。


アイデアにだって溢れてると思っていた。


でも、面白い話なんて書けなかった。

陳腐で、ありがちで、なにかに似た話が出来上がることしかなかった。


自分ではかけないと思った俺は機械に頼った。

パソコンに書いてもらうことにした。


パソコンの中に昔の文豪や今流行りの作家の小説や作風などのデータを組み込み、

プロットを組み込むだけで面白おかしく作品を作ってくれる機械をつくった。

俺の好みの作家や作風をつくりあげた。

起承転結に気に食わなければ何通りだって数秒で作り変えられた。


俺は一気に有名作家の仲間入りをした。

好きな作風だって、この作家をリスペクトしており影響を受けたなどといえばみんな納得した。流行りのデータだって小まめに入れているから売れる本だっていくらでも作れる。


この機械さえあれば俺はなにもしなくていい。天才作家の地位を手に入れ一生食っていけるのだ。

こういった感じの売れそうな本を書いてくれ、次はミステリー、次はファンタジー、

編集の言う通りに書き続け、締め切りの少しだけ前に疲れた顔で提出するのだ。

編集は確認し喜び持ち帰り、新聞や雑誌、電車の中吊りが俺の名前だらけになる。

世界中の奴らが騙されているのを俺だけが知っている。

滑稽なことだ。


雑誌のインタビューなども、俺と言うアシタバキノウのキャラクターを設定すれば機械がなんでもつくりあげてくれる。

格好良くてかつ嘘つきな俺を周りのやつらすべてがキラキラしながらみてくるのである。


こいつは素敵なやつだ。

困ったことがあればなんだってこいつに聞けばいい。外に行かなければならない時は服装だってアシタバキノウならこれを着る、と選択してくれる。

元々あまり人と喋らない俺はそんなに人と話すこともないし、繊細で神経質な寡黙キャラということにしていた。

ボロが出ることもないだろう。


なんでも機械がやってくれるのだ。

俺は何にもしなくていい、

アシタバキノウを演じて機械が言う通りに動けばいい。

アシタバキノウこそ、アシタバキノウが作り出した至高の作品なのである

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