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「身代わり婚で死罪確定」だったはずが、〝氷の鉄仮面〟に溺愛されてます。~虐げられてましたが反抗します~  作者: 鷹咲
1話:身代わり婚に拒否権なし

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1-2


 背にしていた窓から漂ってくる冷気を首筋に感じて、私――アリアストラ・ヴィレオンは窓の外を見上げた。

 ヴィレオン大公領の森にはうっすらと雪の白さが目立ち、どんよりとした曇天が覆う冬の始まりの日。

 この日は私にとっては特別であり、そして地獄でもある日だった。



「フローラちゃん、お誕生日おめでとう!」

「18歳の誕生日、おめでとう、フローラ。お前もやっと成人だな」

「ありがとう! お母様、お父様!」



 〝家族〟の声がリビングに響き渡る。

 ご馳走がいっぱい並ぶテーブル。真ん中にはバースデーケーキ。

 祝われているのは、私の〝双子の妹〟、フローラ・ヴィレオンだ。 



「ところでフローラ。今日の『5大公家次期当主議会』はどうだったんだ?」

「婚姻の相手も発表されたんでしょう? 誰だったの?」

「全然楽しくなかった。びっくりするぐらい面白くないし。しかも婚姻相手は〝氷の鉄仮面〟なのよ!? 本当に最悪なんだけど」

「氷の鉄仮面と言えば……フェリノスのことか! あいつは具現化魔法を扱えるぐらい優秀な魔法使いだ。すごいじゃないか、フローラ! フェリノスと釣り合えるってことは、お前も相当優秀な魔法使いだと認められたってことだぞ!」



 5大公家のうちの一つ、北部に領地を持っている氷の鉄仮面こと、氷の大魔法使い、フェリノス・ノア・エルヴノール。

 確かに、5大公家の中で1,2を争うほどの魔力を持つ彼と結婚できる相手はフローラしかいないだろう。

 だけどフローラは不機嫌な態度を隠そうともせずに叫んだ。 



「そうかもしれないけど、私、フェリノスとは絶対に結婚したくないわ!」



 フローラの絶叫で、喜び勇んでいた父親がぴたりと動きを止める。

 その横で母親が「結婚したくないって……」と呆然と呟いた。



「フローラ、この婚姻制度は王命だ。魔力のレベルが同等の者同士を結婚させ、子孫繁栄を促し、魔力の均等を図る重要な制度なんだ」

「そうよ、フローラちゃん。命の危険がある場合にのみ拒否が許される仕組みなの。エルヴノール家との婚姻は、これ以上ないぐらいの良縁よ」



 両親が猫撫で声でフローラを説得しにかかる。

 でも私はフローラがなんて答えるのかわかりきっていた。 



「私、寒いのだけは大っ嫌いなのよ!」



 今回ばかりは両親もフローラの我儘に難色を示した。そりゃそうだろう。『寒いのが苦手』という理由だけで婚姻を拒否なんてできるわけがない。

 珍しく困った顔の両親を尻目に、フローラはバースデーケーキにフォークを突き立てて、そのまま口へ運んだ。大公令嬢とは思えないぐらいのマナーの悪さだ。

 思わず目を細めてフローラの方へ視線をやると、ばちりと黄金の瞳と目があった。

 その瞬間、フローラが不敵な笑みを私に向ける。




「そうだわ。お姉さまに嫁いでもらいましょう」





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