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貴女は這い上がる!  作者: 鮭田 八百屋
第一部 下級貴族
2/3

1-1 貴族の娘

「ジェルベーラ様おはようございます」


 朝の鐘がもう鳴ったのだろうか。専属侍女のエーテリーが私を起こしに来た。貴族の子供の世話は専属の侍女や従者がする。

 下級貴族と言っても貴族は貴族。平民や農民と身分の差も天と地の差程にはある。だが、上級貴族や中級貴族と比べてしまうと其れはもう下級貴族なんて貧相だ。ましてや領主一族と比べてしまえばさくっと握り潰されてしまう。


「おはよう。エーテリー」


 エーテリーは薄い青色の髪でいつも結い上げてひとつにまとめている。


「朝食が整っております。身支度を済ませ向かいましょう」


 そう言うと、今日着る服を用意し私の髪のセットを始めた。鏡の前に座る。未だにジェルベーラになった姿に慣れない。赤茶の髪で胸の長さ位まである。耳の上から後ろまで編み込んみひとつの三つ編みでまとめ花の飾りを付けるのかが私のお気に入り。この世界は髪から目やらとてもカラフルだ。私の目なんかも、スーっと惹き込まれるようなエメラルド。エーテリーは髪とお揃いの薄い青色。とても綺麗。


「今日のお召し物はこれにしましょうか」


 と薄いピンクを基調として金色の刺繍が入っているドレスを持ってきた。

 日常からドレスを着るいや、ドレスを来たことがなかったのでそれだけでテンションが上がる。しかも5歳で身長110センチにも満たないくらいのドレスのサイズ感がなんともミニチュアっぽく可愛いのだ!私のドレスはほとんどが膝丈で、転ばないようにしているのもあるだろう。


「とても可愛いわ。それにします」


 慣れないドレスでも着替えはエーテリーが人形に着せるようにやってくれるので苦労はしていない。だが、ドレスを着た際の作法は覚えるのが大変だった。ドレスを着てなくても基本となる作法だが、走らない、しゃがまない、お辞儀をする時はスカートを抑える、俯かない、ほんとに覚えきれない量の貴族の嗜みやら礼儀作法やら言葉使いを叩き込まれた。


 着替えが終わると朝食がすでに並んでいる食堂へと向かう。食堂に行くと、既にお母様、お兄様が食事をとっていた。


「ジェルベーラおはよう」

「ヴァルム兄様おはようございます」


 最初に挨拶をしたのはリーフィ・ヴァルム兄様。私よりちょっと濃い赤茶の髪色をしていてつんつんした髪型だ。過保護なお兄ちゃんって感じで優しい。

 次にお母様と挨拶を交わした。リーフィ・ネルケーベーラお母様。藤色の髪を編み込んで色とりどりの花の飾りを付けている。貴族の奥方として気品があって一つ一つの動きが繊細で綺麗だ。


 お母様とお兄様と今日の予定やお兄様の貴族院の話なんかをしてるとあっという間に品数の多い朝食も食べ終わった。ヴァルム兄様は春休暇が終わって今日貴族院に戻るそうだ。私たちグリュックフェアンヴェー王国の貴族は国の中央にあるグリュクリッヒ貴族院に8歳から入学する。


 ヴァルム兄様は13歳で高等貴族院に入ったばかりだ。グリュクリッヒ貴族院は………今日は忙しいからまた後でにしよう。なんたって今日は貴族院に入るまでに修得する魔法の実技練習なの!魔法とかファンタジーすぎてちょー楽しみ!そんなことを考えているとヴァルム兄様が出掛ける準備を始めた。


「ジェルベーラ、今日は魔術演習らしいな。師範の言うことちゃんと聞くんだぞ?それに怪我しないように」

「はい!ヴァルム兄様。魔術を使うがのが楽しみです!」

「それは良かった。魔法を堪能するがいい。……楽しめるのは今だけだがな」


 貴族院の授業は競争心が高く苦労しているんだろう。本を読むのを好むようなヴァルムの性格だと大変そうだ…


「ジェルベーラ、あまり熱中しないように。座学にも精を出せるように致しなさい」

「はいお母様」


 お母様のいつもの決まり文句。魔力量を増やして殿方を探すなんて口にしたこともないのに。魔法ばかり熱中してる姿がお母様によく写っているようだ。……でも周りの目なんか気にしない!魔法の実技!張り切らなくっちゃね!


「ジェルベーラ。」

 お母様の冷たく圧のある声が聞こえる。

ーー座学にも励みますから……ごめんなさい!


 朝食を取り終え自室に向かうとエーテリーが実習用の服やら腰に付ける鞄のようなものを用意していた。もう1人部屋には従者のダルベルクが魔術道具の準備をしていた。見た目は17歳くらいの青年だが声が大人びていて頼りがいのあるお父さんって感じだ。私の世話役は2人で朝から晩まで供をしてくれる。


「ジェルベーラ様。お屋敷の前に師範様が待っておりますお召し物を着替えて向かいましょう」


……今日は楽しい日になるぞー!頑張らなくっちゃ殿方のために♪

次回は魔術演習です!

殿方までの道のりは長いですね

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