11章、夢
ここは考えていたので早く出来ました。
「……!………ん!」
誰かに呼ばれている。
「………くん!」
誰かが呼んでいる。
「し……ん!…………!」
「ん??」
「あっ!やっと目さました~」
「もう、ねぼすけなんだからしょうちゃんは~」
「「ははは!」」
「?」
聞いたことのある幼い声。
「あれ?ここは?」
「あれ~?まだねぼけてるの?」
「ここは、公園だよ。かくれんぼしてて、しょうちゃんがかくれてるところでねちゃってたんだよ?」
公園で幼い子が遊んでいる。
昔からの友人は小、中、高と一緒だったのでだいたい覚えているつもりだ。
〈俺の学校は小、中、高のエスカレーター式なのでほとんど顔見知りである〉
しかし、一緒に遊んでいるであろう5,6人の子供全員『知らない』。
(………『知らない』?)
何かひっかかる。
聞いたことのある声。
しかし、姿は『知らない』。
(どうして?)
まだ幼いので、わからないだけかもしれないと思った。
一人だけならそう思ったかもしれないが、全員『知らない』。
小さい頃から遊んできた友人が全員わからないなんてあるはずがない。
夢だから?
けど………自分は『覚えている』。
…………『覚えている』?
一体なにを?
《………だ…………………!》
「??!だ、誰だ!?」
「し、しょうちゃん、どうしたの?」
「え?いや……何か聞いたことのない声がした気がして……」
「はは。しょうくんったら、まだねぼけてるんだよ」
「そ、そうかな?」
「ははは」と笑う子達。
なんだか、とても懐かしく思う。
「じゃあ、しょうちゃんも見つかったし、こんどはなにしてあそぼうか?」
「う~ん……………あっ!」
「なにかおもいついた?」
「たんけんごっこは?」
「あ、いいねそれ。」
「みんなもそれでいいよね?」
「さんせー」と自分以外の子は乗り気である。
「しょうちゃんもそれでいいよね?」
「うん………!」
《…………し…………だ……!!》
また聞こえた。
その声は、俺への叫びに聞こえた気がした。
しかし、何を言っているかまではわからない。
「よーし!じゃあ、たんけんにれっつごー!」
「「「「おー!」」」」
「………」
そうして俺達は探検に行くことになった。
と、いっても子供達の遊びなので公園を出て、近くを回るだけのような感じだった。
年齢的には幼稚園ぐらいだろう。
ちなみに公園は住宅街の中にあるので子供だけでも十分に探索できる状況だった。
住宅街なのであまり車もこない。
ただ…………少しだけ…………ほんの少しだけ…………時間が遅かった。
そろそろ、日がおちてゆく。
思っていたより探索に出た時間は遅かったみたいだ。
結構な時間を探索したのもあるのだが……。
「もう、そろそろ帰ろうよ………」
ある子が言う。
「そうだね……」
「もうくらくなってきてるもんね」
「そうだねー」
そろそろ帰らないと怒られると思っているのだろう。
「じゃあ、じゃあ、つぎでおわりにしようよ」
「ちかくにおばけがでるってばしょがあるからそこをさいごにしようよ」
まだ遊び足りないと思われる子達が言う。
「うーん………どうする?」
「じゃあ、そこがさいごだよ?」
「うん!」
他の子も、もっと遊びたいのだろう。
みんな賛成していた。
そして、今は使われなくなったであろう場所に着く。
そこは病院だった。
(こんなところあったか?)
《……………ちゃ…………だ…………!!》
………また聞こえた。
でも何を言っているかわからない。
「ほんとうにいくの?」
「も、もちろんだよ!ここまできたんだよ?」
「はやくいかないとまっくらになっちゃうよ?」
親もこんなところにまでくるとは思っていないのだろか?
なんて考えていると、みんな先に行ってしまったようだ。
《……い……………め……………!!》
あいかわらず何を言っているかわからない。
とりあえず心配をかけるといけないのでみんなのあとを追う。
「おーい?」
普通に玄関のドアが開いており、すんなり入れた。
「………ここは…………」
…………『知らない』はずなのに…………『覚えている』
『覚えている』のに…………『知らない』
矛盾した考えが自分の中にある。
(なんだ?この感覚?)
こういうのを既視感というのだろうか?
………夢の中でそんなことになるなんて不思議な感じだ。
《お……だ………は……な……!!》
だんだんと聞こえてくるようになる声。
それよりも先に入っていった子の声がきこえない。
(おかしい………)
人の気配がしない。
嫌な汗がでてくる。
なぜか息苦しい。
(どうして?………みんなは?)
俺は奥へ行く。
そこで臭った嫌なにおい。
《おも………しては……け………い!!》
このにおいは知っている。
血のにおい。
死のにおい。
《……もい………て………い……な………!!》
そこで気づく。
歩くたびにピチャ、ピチャと響く。
液体を踏んでいることに。
《お……い……だ………け………い!!》
転がっていた。
手が。
足が。
腕が。
下半身が。
目玉が。
内臓が。
《思い出してはいけない!!》
ずっとかたりかけてきていた声は………
自分のこころで………ここは………封印していたはずの記憶……
自分を守るために奥にしまったはずの記憶………
「うわあああああああああああああああああああああああああああ」
次も頑張っていきます。