9章、吸血
一日が終わらない………
ようやく部屋に着きました。
どんな公開処刑よこれ!!
何か部屋の中が変わってる……?
なんかベットが大きくなってる気がする?
「ベットが大きくなってる……」
本当に大きくなってました………
え?何?一緒に寝ろと?
いやいや…それはないでしょう?
「えっと……どうしたの?」
「あ……ちょっと考え事を…」
あまりのことに思考が止まってました。
しっかりしろ!俺!
まだ一緒のベットと決まったわけではない。
とりあえず、姫様をベットにおろす。
「ここでいい?」
「うん」
「で、どうしたらいい?」
「本当にいいの?」
「もちろんだ」
「えっと…じゃあ、寝転がって」
「わかった」
言うとうりに寝転がる。
すると、姫様が覆いかぶさるように抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと!」
「どうかした?」
「な、なんでこうなってるの!?」
「え?だってこうしないと飲めないじゃない」
なに言ってるの?みたいな顔で言う。
「ど、どこから血を吸うつもりなの?」
「どこって…首?」
だから俺が押し倒されている形になってると。
「じゃあ、いただきます!」
首に噛み付く姫様。
チクっと首から痛みがする。
そして、痛みがした場所から、自分の中の何かが吸い出されていく感じがする。
「んく。んく。」
姫様はおいしそうに俺の血を飲んでいく。
(やっぱり人間の血っておいしいのかな?)
そんなことを思いながら、姫様の頭をなでる。
一瞬ぴくっとなったがなでられることを受け入れる。
だんだん自分の中の沢山あった何かがなくなっていく。
(姫様って意外と大食なのか?それとも、それだけ腹がへっていたか?)
だんだん、視界がまわってくる。
「………」
声を出そうとしても血を失いすぎたのか、力がでない。
しかも、頭も回らない。
そろそろ、やばい?
頭をなでていた手が止まる。
すると、姫様が不満に思ったのか、顔を見る。
そして気が付く。
「ショ、ショウ!?大丈夫!?」
あわてて血を吸うのをやめる。
言葉がでない。
「ぐすっ……ごめんなさい……」
姫様は泣き出す。
一言……一言でいいから……姫様に……俺は……君の……そんな顔は……みたくないから……
「だ…いじょ…うぶ…だよ…」
だから……笑顔をみせて……そんなに……泣かないで……
……………回復魔法みたいなの唱えたら回復するんじゃね?
回らない頭で考える。
………とりあえず唱えてみることにする。
(キュア!)
すると少し楽になった。
「うっ!」
起き上がれるぐらいには回復した。
「ごめんなさい…」
「大丈夫。平気だから。ね?だから泣かないで」
平気だよ、といいながら頭をなでる。
「ほん…とうに?」
「もちろん!だから泣かないで笑ってよ」
「ぐすっ……う…うん…」
ハンカチで顔を拭きながら言う。
………なんだか嫌な予感がする。
つい数時間前にも同じようなことがあったような。
「セリーヌ入るわよ?」
と、入ってくる王妃様。
「あら?あらあら…ごめんなさいねぇ」
部屋を出て行く王妃様。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
また誤解がうまれた気がする。
『………この状況どう思う?』
すごく………デジャヴです………
今の状況は姫様が俺を押し倒しているように見えなくもない。
「お母様、何の用だったんだろう?」
「………わかんない………」